ドイツで出会ったパンの味を地元・山形県米沢で再現

JR米沢駅から車で10分。上杉神社から西へ向かう静かな通り沿いに「キナリブロート」はあります。 お店を営むのは、山形県米沢市出身の井口美穂さん。子どもの頃にドイツで暮らしていた井口さんが帰国後も忘れられなかったのは、むちむちとした食感と程よい酸味のあるドイツパンのおいしさ。もう一度味わいたい、そう思ったことが、パン作りを始めるきっかけになりました。店内のカウンターに並ぶのは、クセが少なくあっさりとした風味の南部小麦と玄米の天然酵母で作った、12、13種類の天然酵母パン。外側がバリッと固めで中はもっちり食感のハード系のパンです。無漂白の小麦粉を使っていることに由来する「生成り」とドイツ語で“大きなパン”という意味の「ブロート」を合わせた店名のとおり、大きめのパンには素材そのものの味わいがギュッと凝縮。噛めば噛むほど、おいしさがあふれ出します。 生地以外の材料も、なるべくオーガニックな素材をセレクトしています。その理由は、知人にすすめられたマクロビオティック食で体調が良くなったことがあり、食べ物が体へ与える影響の大きさを実感したからだそう。厳選した食材で作られるパンは、体にもやさしいんです。

素材のおいしさがストレートに伝わります

左から「ラントブロート」と「フルーツブレッド」

大粒でジューシーなレーズンと香ばしいくるみ、オレンジピールの甘酸っぱさがアクセントのドイツパン「フルーツブレッド」（470円、ハーフ250円）は、レーズンの甘みとパンの軽やかな酸味が、ワインやチーズにもぴったり。爽やかな甘みのオレンジピールは、米沢市内で生産・加工されたものだそう。 また、井口さんのいちおしは、ライ麦と全粒粉、南部小麦をブレンドしたドイツパン「ラントブロート」（830円、ハーフ420円）です。歯応えのある生地は、噛むたびに素材そのものの素朴な味わいや、天然酵母ならではの程よい酸味が口いっぱいに広がります。生地がぎっしりつまっているので、スライス数枚を食べただけでもお腹いっぱいになりますよ。生地自体には甘さや塩気などを加えてないので、いろいろなアレンジが楽しめるのもうれしいところ。温めて生地をしっとりさせた「ラントブロート」に野菜やお肉を挟んでサンドイッチにしたり、薄くスライスしてバターやハチミツをつけて食べたりするのもおすすめだそうです。 パリッサクッとした軽い食感ながらしっかりと食べ応えもある「クロワッサン」（190円）も人気商品のひとつ。金～日曜日の3日間限定なので、販売日にはすぐに売り切れてしまうのだとか。ほかにも、自家製のつぶあんがたっぷり入った「あんぱん」（170円）やローストしたくるみのコクのある甘さが楽しめる「黒糖くるみ」（210円）などの惣菜パンも販売しているので、ぜひチェックしてみてくださいね。

「あんぱん」

「黒糖くるみ」

パン以外にも、国内外から取り寄せた自然食品や、乳化剤を使わずに作る「ピープル・ツリー」のチョコレートなどのフェアトレード商品、雑貨も販売しています。オートミールや生アーモンドなどの量り売りもしているので、気になるものがあったら声を掛けてみてくださいね。 店内には購入したパンを食べることができるテーブル席もあります。体の中から元気になりたいと感じたら、おいしくて体にやさしいパンや食品が集まる「キナリブロート」へ、ぜひ足を運んでみてください。