作り手と食べ手を直につなぐ、新しい農業。[Farm Owner’s/ 山形県山形市] by ONESTORY
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作り手と食べ手を直につなぐ、新しい農業。[Farm Owner’s/ 山形県山形市] by ONESTORY

「日本に眠る愉しみをもっと。」をコンセプトに47都道府県に潜む「ONE=1ヵ所」の 「ジャパン クリエイティヴ」を特集するメディア「ONESTORY」から 山形県山形市の「Farm Owner’s」を紹介します。

「ONESTORY」公式サイトはコチラ

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農家が自分のために、野菜を育ててくれる。

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農薬や化学肥料は使わず、腐葉土など自然に近い環境で育てる。

カブ主になりませんか? ただし、配当は野菜です―。 こんな面白いキャッチフレーズのもと、2016年2月、山形県であるユニークな農業の形が誕生しました。その名も『Farm Owner's』です。 ウェブサイト上で「蕪(株)券」を買うと、農家のオーナー(蕪主)になり、自分の食べたい種類の野菜が届けられるというシステムです。立ち上げたのは、誰よりも伝統野菜を愛する農家の4代目・佐々木康裕氏です。

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味が美味しく安全でも、農家が作りたがらない。

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生育状況はSNSやグループメールで通知される。

「本来、ピーマンは苦いものなんです」と佐々木氏。昔ながらの固定種・在来種と呼ばれる野菜は、トマトはトマトらしい酸味がしっかりあり、ニンジンは土の香りがして、大地の味が感じられるもの。それが今は、トマトはトマトを超えた糖度を追求され、根菜や葉菜もえぐみが少なくなり、何よりも形が綺麗で均一です。それらが悪いわけではありませんが、農薬や化学肥料を使うことで大量生産を可能にしている場合も多いため、健康面への影響が懸念されています。 国の発表によると、現在有機野菜は市場の0.4%程度で、更にその中でも固定種や在来種は約0.01%しかないそうです。農家がこういった野菜を育てないのは、「特別な野菜を育ててもJAや市場には適正な値段で売れない」「ほとんどの農家の人が70歳近くで、自力で売り先を広げるのが難しい」「農薬や化学肥料を使わないことで野菜の成長が遅くなり、しばらく収入が減る」といった理由があると佐々木氏は話します。

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農家は安心して作れる。消費者は信頼して買える。

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農業は素人だったため一から勉強したという佐々木氏。

一方でそういった安全な昔ながらの野菜を求める消費者は増え、レストランでも在来種の無農薬野菜を使いたいというシェフも多くなっています。ですが、作る人が少ないため、これらはスーパーマーケットにもあまり並ばず、あっても種類が少なく、価格も高め。この流通のミスマッチをなんとかしようと考えた佐々木氏は、「作った野菜を買ってもらう」という従来の仕組みから、「食べたい野菜を農家に育ててもらう」という関係に変えることを考えつきました。それが、この『Farm Owner’s』という制度です。

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年収200万円程度という状態を、当たり前と思ってはいけない。

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事前に連絡すれば畑に遊びに行くことも可能。

佐々木氏の家は4代続く農家でしたが、「農業は儲からないからやめなさい」と祖母に諭されていました。佐々木氏は一度全く違う仕事に就いていましたが、東日本大震災で食の安全や日本の農業の大切さを見直したことも、この新たな農業のシステムを始めようということのきっかけになりました。まずは自分が農家を継ぎ、自分の農園をこの事業の実験台に。クラウドファンディングで資金を集め、ウェブサイトで「蕪(株)券」を販売したところ、蕪主は予定数を達成することができました。

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美味しい「蕪主総会」。農家とつながることが喜ばれる。

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届く野菜は3,000円で6〜12種が目安。年間30種ほどを生産する。

「蕪(株)券」の金額によって届く内容や回数が異なり、定額以上の蕪を買った人には定期的に野菜が届きます。山形赤根ほうれんそうや、甚五右ヱ門芋、肘折かぶなど、どれも都会では手に入らない在来種・無農薬野菜です。届いた人からは「こんな野菜見たことがない」「味が濃くて美味しい」「野菜ってこんな味がするんですね」といった喜びの声ばかり。野菜の定期便だけでなく、東京で「蕪主総会」と称してバーベキューや芋煮会を開くなど交流会も開催しています。 野菜を買うことで、会社も出身も関係ないオーナー同士のつながりも生まれます。蕪主からは、野菜そのものへの感想はもちろんですが、「生産者との関係づくりができることが楽しい」という声も多いそうです。都会の消費者は顔の見えない「食」よりも、作った人の体温が感じられる食べ物を求めているー。佐々木氏自身もそのことを強く認識したといいます。

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「種まきや収穫を体験して頂くこともできます」と佐々木氏。

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まず自分で食べたかった、が原点。

今のところ『Farm Owner’s』の生産農家は佐々木氏だけで、今後他の農家と協働するなどの拡大予定はないそうです。その理由を聞くと「まず私が食べたかったんです、伝統野菜を」との答え。誰よりも地元に伝わる野菜を愛し、それを人に届けたいという純粋な想いが原点となっているのです。 「蕪(株)券」はあと数枠残っているそうなので、あなたもオーナーになってみては?

Farm Owner’s

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山形県 山形市肴町

clock-icon13:00〜18:00
pin-icon不定休
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