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2019.10.07
歩くほどに出会える新と旧 秋薫る 祇園北さんぽ
四条通と三条通の間、川端通から東大路通のあたりまでがいわゆる〝祇園北〞エリア。辰巳大明神や白川などの祇園を象徴するスポットもあり、観光客が多く訪れます。 吹く風や空の高さに秋の訪れを感じる今日この頃は、祇園を歩く人の表情もどこか涼しげ。石畳の通り、白川の流れ、そして細い路地に漂う秋の匂いを歩いて見つけませんか。
花街で感じる、新と旧がミックスされた奥深い魅力

八坂神社の参道の紅葉に秋を感じる
祇園北エリアで、まず足を運びたいのはやはり八坂神社。朱色の西楼門から入り、境内を進むと立派な本殿が現れます。 参拝後の祇園散策は、にぎわう四条通、東大路通へ。老舗店に立ち寄ったら、気の向くまま細い道へも進んでみて。辰巳大明神の周辺は、情緒たっぷり。祇園北のシンボルで、フォトスポットにもなっている巽橋、芸舞妓さんも通う喫茶店や、きなこやあんこをメインにしたスイーツを楽しんで。新と旧、和と洋がミックスされた町の魅力に気付くはずです。
秋は境内の紅葉が美しい「八坂神社」

四条通を歩いていてもその存在に目を奪われる西楼門は八坂神社の象徴
四条通から東を見ると、視線の先には朱色の堂々たる風格の楼門が。「八坂神社」は、始まりは656(斉明天皇2)年とも、876(貞観18)年ともいわれる古社で、7月の1か月間執り行なわれる日本三大祭のひとつ、祇園祭でも知られています。

美御前社前に湧き出ている美容水をチェックするのも忘れずに
本殿でのお参りに続いては、ぜひその東側に位置する美御前社(うつくしごぜんしゃ)でも祈願を。こちらに祀られている美人の誉れ高き宗像三女神の中で、ことに際立つ美人の神が市杵島比売命(いちきしまひめのみこと)様です。 美の神様のご神徳を受け、肌のみならず心の美しさにも磨きをかけてみませんか。

八坂神社
ヤサカジンジャ
創業時から変わらぬ市松模様の美しい寿司「いづ重」

木版画の掛け紙もまるでアート作品のよう。包みを開ける時間さえも楽しい
東大路通沿い、バス停祇園からすぐの「いづ重」は、明治末の創業以来、伝統の京の寿司を作り続ける名店です。日本海の対馬沖で獲れたサバを使った鯖姿寿司や、ぷちぷちとた食感がアクセントのいなり寿司など、京都人がこよなく愛する一品がそろいます。

市松模様がモダンにも感じる「上箱寿司」1700円(税別)、持ち帰りは1800円(税別)
人気の理由のひとつは、酢飯のおいしさ。ごはんを炊く際、かまどや割り木を使う、昔ながらのやり方を守っています。 その彩りにもファンが多いのが「上箱寿司」。厚焼き玉子、小鯛、海老といった組み合わせは創業時から変わらないそう。小鯛に添えられた木の芽の緑が、見た目と味わいに爽やかさを演出。考え抜かれた“美”につい見とれてしまいます。

いづ重
イヅジュウ
自家焙煎きな粉を使ったスイーツ「吉祥菓寮 祇園本店」

「焦がしきな粉パフェ」1100円(税別)
きな粉のおいしさを知ってもらいたいと、「煎り大豆」を販売する菓子茶房がオープンしたきな粉スイーツの専門店「吉祥菓寮 祇園本店」。1階のショップでは、数種類のきな粉も販売。好みに合うものをおみやげにして、食べ比べをするのもおすすめです。 使用しているのは産地にこだわった国産大豆で、お店で丁寧に焙煎しています。それぞれの大豆の特徴に合わせて焙煎の加減を調整しているというのも、きな粉のおいしさを知るプロならではの技術です。

2階ティールームでは、限定デザートやカフェメニューのほか、各種フードメニューも用意されている
2階のティールームでいただける「本わらび餅」や「自家焙煎きな粉ラテ」といった“きな粉メニュー”の中でも人気は、「焦がしきな粉パフェ」。きな粉とバニラのアイスの間に豆乳ブランマンジェとほうじ茶ゼリーを挟み、宮城県産大豆・ミヤギシロメの香ばしさが堪能できるパフェです。好みで自家製黒蜜と、テーブルに備え付けられたきな粉をかけて味わって。

吉祥菓寮 祗園本店
キッショウカリョウ ギオンホンテン
京都の味がよみがえる「黒七味」の老舗店「原了郭」

写真の木筒 各1000円(税別)
四条通に面した「原了郭」は、江戸時代から続く老舗。京都人の大好きな薬味のひとつ「黒七味」を一子相伝の技で守り、作り続けています。 「黒七味」の原料は白ごま、唐辛子、山椒、青のり、けしの実、黒ごま、おの実の7種類。鼻に抜ける豊かな香りと奥深い味わい、ぴりっとした辛さが料理の味を引き立てます。麺類や鍋物はもちろん、焼きそばやトマトソースとも相性抜群。

黒七味の豆袋10 袋入りの「黒七味ポーチ」550円(税別)。ポーチは一つひとつ手作り
店内には黒七味だけでなく粉山椒や一味なども並びます。木筒で販売されているほか、詰め替え用の袋もあり、軽くてかさばらない袋入りは、特におみやげとしてぴったり。一振りするだけで京都の味がよみがえります。

原了郭
ハラリョウカク
モダンな装いのあんこのお菓子「京都祇園 あのん 本店」

秋冬限定の「あんふぉんでゅ」1200円(税別)
コンセプトは、和洋折衷、今までにない〝新趣〟のあんこのお菓子。店内奥と2階に設けられたカフェスペースでは、つぶあんとマスカルポーネチーズを使用したクリームを最中で挟んでいただく「あんぽーね」をはじめ、「あんまかろん」「あんえくれあ」などバラエティー豊かなメニューが用意されています。

丹波黒大豆を使った甘納豆「あんぐらっせ」。フレーバーは、ほうじ茶・ジャスミン茶・アールグレイ。各500円(税別)
これからの季節におすすめなのが、秋冬だけのメニュー「あんふぉんでゅ」。こしあんベースと、白みそあんベース、2種のフォンデュソースにバームクーヘンやパイ、イチゴなどをつけて味わいましょう。最後はどちらかのソースで豆乳ラテを作ってもらえるサービスもありますよ。

京都祇園 あのん 本店
キョウトギオンアノンホンテン
【ことりっぷマガジン特別編集 京都だより】
季刊誌「ことりっぷマガジン」の連載「京都だより」を再編集。いま気になる京都のエリア22ヵ所をイラストマップでご紹介しています。雑貨店やカフェの案内のほか、巻末には京都駅の活用情報や、季節ごとのイベントカレンダーも掲載。季節を変えて何度も京都に訪れたくなる街歩き本です。
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