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2016.02.12
京都・東山の大きな町家カフェ「市川屋珈琲」で、坪庭を眺めてのんびりカフェタイム
※こちらの記事は2016年2月12日に公開されたものです 2015年11月、東山の静かな町の一角に「市川屋珈琲」がオープンしました。どっしりとした店構えの建物は、かつて清水焼を生み出してきた工房。 コーヒーと地元の食材を活かしたフードメニューがあると聞き、さっそく出かけてみました。

静かな町にとけ込むようにたたずむ町家カフェ

「市川屋珈琲」は市バス馬町の停留所から歩いてすぐ、渋谷通(しぶたにどおり)に面して立っています。軒先に掲げられた暖簾が目を引く、大きな町家です。 この界隈にはかつて清水焼の窯元が軒を並べていましたが、今はその多くが山科区に移り、古い街並みはまどろむような落ち着いた雰囲気に満ちています。

座る場所によって表情が変わる店内

お店を営むのは市川夫妻。店主の市川さんは京都の老舗喫茶店・イノダコーヒに長年勤め、焙煎に興味を持ったことが自身でお店を開くキッカケになったのだとか。 開放感のある居心地のいいこのカフェは、その昔に祖父が暮らした工房兼住居を改修したもの。外からだとちょっと想像できないような広々とした空間で、大事に使い込まれてきた古いものが新鮮に映えるモダンな内装になっています。 カウンター席とテーブル席があって、座る場所により見える景色が変わり、ゆったりとした配置で腰かけるとたちまちくつろぎモードになれます。

坪庭を眺めながらコーヒーをいただくのも風流だし、かつて使われてた井戸があり、そこここに古きよきものが活かされています。 吹き抜けのある席もあって、とっても気持ちがいいんですよ。

繊細で美しい清水焼の器で至福の一杯を

差し出された蒼色が美しいカップは店主のお兄さまが焼いたものだとか。コーヒーはブレンドで、「市川屋」、「青磁」、「馬町」の3種類があります(470円~)。 この日選んだのは「市川屋ブレンド」。ひと口含めばふわりと甘みが広がり、強すぎず飽きのこない味。しかしなぜかクセになる、そんな不思議な魅力を持ったコーヒーです。 ”ゆっくり過ごしてほしい”という市川さんの思いから、ブレンドとアイスコーヒーの2杯目は230円でいただけます。香り高い自家焙煎のコーヒーをおともに、つい長居してしまいそう。 各ブレンドコーヒーはコーヒー豆の販売もあるので、気に入ったら自宅でも味わえるのがうれしいです。(各1100円)

地元東山五条のお店とのコラボメニューを味わって

11時まではモーニングの営業があり、「市川屋モーニング」(650円)には東山五条界隈のご近所さん「ぱん屋ニコリ」や「ハム工房古都」のベーコンが使われています。 パンはほんのり甘く弾力があり、無添加ベーコンは脂の旨味がじんわり口中にしみ出してくるよう。

「ベーコンとみぶ菜のサンド」(800円)のふんわりとして甘みのあるパンにはさまれているのは、なんと自家製みぶ菜のお漬物。 お漬物がごはんばかりでなく、パンにも合うことにびっくりしました。
こちらで使われる陶器はすべて清水焼で、展示されている作家の陶器は購入もできます(3240円~)。

清水寺へ歩いていけるロケーションで、三十三間堂からもぶらりとおさんぽするのにちょうどよい距離です。陶芸をはじめ幅広いアートの世界で活躍した河合寛次郎の記念館もすぐ近くなので、東山散策の途中に立ち寄るにはぴったりのお店です。

市川屋珈琲
イチカワヤコーヒー
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田中昭美
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