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2016.03.02
ケースに並ぶ和菓子は3種類のみ。京仕込みの女性職人が紡ぐ、美しい甘味
2015年11月、仙台市中心部の路地裏のビルにオープンした「和菓子 まめいち」。地元出身の女性職人が作る優美な上生菓子が、早くも話題を呼んでいます。
路地裏のビルの2階にある小さな和菓子店
地下鉄勾当台公園駅から徒歩5分ほど。定禅寺通から1本路地へ入った、錦町公園に面するビルの2階に「和菓子 まめいち」があります。店内の奥には、イートインスペースもあり、カラフルな椅子がポップな雰囲気。 ショーケースには3種類の上生菓子、隣にはカゴに乗った4種類ほどの焼き菓子が並んでいます。
こちらは、仙台出身の女性和菓子職人・幾世橋(きよはし)陽子さんのお店。和菓子店にはめずらしい、明るくナチュラルな空間づくりに、女性ならではの感性が光っています。 幾世橋さんは高校生の頃、テレビで日本の伝統文化を継ぐ若者が少ないことを知り、甘いもの好きを生かして和菓子の道に進もうと決意。京都の老舗和菓子店「老松」での修業や、友人とのカフェ経営などを経て、ついに地元で自分のお店をオープンさせました。
センスの光る創作上生菓子
月替わりの上生菓子(250~350円)
話題を集めているのは、月ごとに替わる3種類の上生菓子。美しい色づかいや、繊細な技、季節を表現するセンスにほれぼれしてしまいます。 訪れた2月は“愛”や“チョコレート”をイメージし、ビートルズの曲名を冠した上生菓子が2種類。 ハート型がとびきりキュートな「All you need is LOVE」は、ミルク風味の白餡と果肉感たっぷりの苺ジャムが入っています。「SAVOY TRUFFLE」は、きなこピーナッツ餡がココア風味のこし餡で包まれていて、まるで本物のチョコレートトリュフのよう。 もう1種類は、「うぐいす餅」。甘さをおさえたつぶあんが薄い求肥で包まれ、きなこの淡い緑に春の息吹を感じます。子どもたちに日本の文化を知ってほしいと、毎月ひとつは伝統的な和菓子を作るのだそう。 これまで製作したなかには、仙台藩主・伊達政宗や、冬のイベント・光のページェントなど「仙台」をイメージした和菓子もありました。自宅近くから見える奥羽山脈の景色が大好きで京都での修業後、地元に帰ってきたという幾世橋さんの“仙台への思い”が伝わってきます。 来月はどんな素敵な和菓子に出会えるのか、わくわくしますね。
洋×和のオリジナル焼き菓子
上から時計回りに、「美人さんのおやつ」(350円)、「まめいち雁月」(230円)、「こしあんガトーショコラ」(250円)、「和のパウンド 宇治抹茶と小豆の甘納豆」(250円)
焼き菓子は、7種類ほどの中から毎日4~5種類をラインアップ。洋菓子に和の要素を取り込んだ、オリジナルのお菓子がそろいます。上生菓子より日持ちするので、手みやげにもぴったりです。 なかでも東北地方に伝わる郷土菓子「雁月(がんづき)」をアレンジした「まめいち雁月」が人気です。 本来は、もちもちの黒糖生地に黒ごまなどをトッピングした素朴なお菓子ですが、こちらの雁月は中にジューシーなドライフルーツがたっぷり。コーヒーや紅茶にも合う、新感覚の和スイーツです。 ネーミングがユニークな「美人さんのおやつ」も好評。むくみを解消するきなこ、整腸作用のあるいちじく、美肌効果が期待できるという、女性にうれしい素材を使っていることから名付けられました。 もっちりとした生地にきなこを練りこみ、いちじくのプチプチ、くるみのカリッという食感がアクセント。名前に惹かれて手に取り、リピーターになるお客さんも多いそう。 1000円以上購入すると、抹茶を一服サービスしてくれます。テイクアウトはもちろん、購入したお菓子は、イートインスペースですぐに食べることもできますよ。おみやげ選びや、街歩きのひと休みに「和菓子 まめいち」へ立ち寄ってみませんか?
和菓子 まめいち
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福島綾香
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