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2020.10.21
日本最古のみりん蔵が残る「九重味淋」のショップ&レストランへ
愛知県碧南市は江戸時代からみりん造りが盛んな土地。今でも市内に4つのみりん醸造会社があり、それぞれ味わい豊かなみりんを製造しています。 今回訪ねたのはそんな伝統的な“三河みりん”の製法を守り続けるメーカーが開いた、ショップ&レストラン。蔵主の邸宅を改装して作り上げたという歴史を感じる建物の中で、新しいみりんの楽しみ方に出会うことができます。
240余年の歴史を持つ、日本最古のみりん蔵
名鉄三河線「碧南駅」から徒歩10分ほどの場所にある「九重味淋」は、日本最古といわれるみりん蔵が残るみりん醸造会社。「九重味淋」がある碧南は三河湾が目の前で、良質な米の産地だったことから、江戸時代にはみりんの産地として全国に知られ評判を集めるようになりました。今でも“三河みりん”といえば、料理人などプロが愛用する本格みりんのブランドです。 築300年の「大蔵」で現在もみりんを熟成させているという「九重味淋」。巨大な黒塗のみりん蔵は国の登録有形文化財になっているほどです。そんな歴史ある醸造所に残る邸宅を改装して作られたのが、今回紹介するお店です。
みりんから生まれたさまざまな品が並ぶ「石川八郎治商店」
そんな歴史ある邸宅の暖簾をくぐると、巨大な梁が残る空間が広がっています。入口すぐには実験用のみりん保存容器が並ぶコーナーがあり、熟成による色の変化を知ることも。ここは明治時代にパリ万博にみりんを出品し、みりんを世界に紹介した当時の当主、石川八郎治から名前を取った九重味淋のオフィシャルショップとなっていて、みりんのほか、みりんを使った調味料やお酒、お菓子などさまざまな商品が並んでいます。
「みりんソフトクリーム」(350円)と「米糀甘酒抹茶」(350円)
「石川八郎治商店」で人気を集めているのが「九重櫻」を煮切ってアルコール分を飛ばし、甘味を凝縮させたものと、そのままのみりんを加えて作ったという「みりんソフトクリーム」。みりんの甘味と香りがミルクのコクと絶妙にマッチしていて、ほんのり香ばしい風味。味わい深い、大人のソフトクリームに仕上がっています。ノンアルコールの米糀甘酒は、夏場はアイス、冬場はホットで楽しめますよ。
石川八郎治商店
イシカワハチロウジショウテン
みりんを使った料理やデザートが楽しめる「K庵」
多彩な商品が並ぶ「石川八郎治商店」の隣にあるのが、みりんを使った料理やデザートを創作する「レストラン&カフェK庵」です。日本庭園を眺めながら食事ができる席もあり、木造の建物の風合いを活かしたシックなインテリアとなっています。
「みりん角煮御膳」(1650円)
「みかわぷりん 〜煮きりみりんシロップ添え〜」(440円)
カフェタイムに楽しめるスイーツも充実していて、社員やスタッフが意見を出しながら完成させたというのが「九重櫻」を煮切って作った、キャラメルのように甘いシロップをかけて味わう「みかわぷりん」。プリン自体も砂糖を一切使わず、みりんの甘味だけで作られていて、素朴で味わい深い甘味を感じることができます。プリンですが、和菓子のように楽しめる一品です。
「みりん粕入りしっとりチーズケーキ」(660円)と「Rinchaミルク割り」(550円)
みりん粕をたっぷり入れて作ったというチーズケーキもあり、香りも後味もみりんの風味豊か。みりんのアイスクリームとみりん粕で作った滑らかなソースも添えられていました。クリームチーズとの相性の良さに驚かされる一品です。 さらにドリンクにもみりんがふんだんに使われていて、みりんとレモンを煮詰めて作った「自家製レモネード」やほうじ茶が香る九重味淋オリジナルのみりんリキュール「Rincha」を使ったカクテルなども。みりんの甘味を活かした今までにないドリンクを楽しむことができますよ。
調味料という枠を超え、みりんの新しい魅力を発信
「K庵」のカクテルに使われていた「Rincha」は、ウィスキーの木樽で熟成させた本みりんにほうじ茶の茶葉を浸した、今までにない商品で、若手の女性社員が開発したものなのだそう。みりんをもっと若い世代にも楽しんでもらいたい、その美味しさを幅広く知ってもらいたいという思いがこの商品には込められています。 素材そのものの味わいを引き出し、豊かな風味を与えてくれる日本伝統の調味料、みりん。「K庵」で使われているみりんやみりん粕、お酒などは「石川八郎治商店」ですべて購入することができ、商品にはおすすめのレシピも紹介されています。歴史ある産地で、みりんの新しい楽しみ方を発見してみてくださいね。
Restaurant&Cafe K庵
レストラン&カフェ ケーアン
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田口真由美
Writer
田口真由美
好物は古いものと発酵したもの。名古屋を拠点に町や人、美味しいものを訪ねる日々を過ごしています。
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