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2021.08.15
やさしい甘さの大きめプリンと、サイフォンで淹れるコーヒー。虎ノ門の喫茶店「ヘッケルン」
虎ノ門にある喫茶店「ヘッケルン」の名物は、50年以上変わらないレシピのプリン。店内のどこか懐かしい空気感やマスターの人柄は、訪れる人を温かく迎えてくれます。ほろ苦い特製カラメルソースがかかった固めプリンを楽しみに、ぜひ訪れてみませんか。

虎ノ門のオフィスビル群の合間にある喫茶店「ヘッケルン」
レトロな雰囲気のこぢんまりしたお店
地下鉄虎ノ門駅を出て歩くこと約5分。大きなオフィスビルのあいだの路地に現れる「ヘッケルン」は、約50年前のオープン当初から変わらないプリンをお目当てにスイーツ好きが通う喫茶店。 ドアを開けると蝶ネクタイを付けた店主の森静雄さんが、カウンターの向こうから穏やかに出迎えてくれます。

小さなジャンボプリンのぼりは、神田にある喫茶店「珈琲専門店 エース」の店主さんの手作り
昭和の面影が残る店内はどこか懐かしいアットホームな雰囲気。初めてのお客さんでも、なぜか不思議と落ち着けます。 店内でゆったりくつろぐお客さんのほとんどの手元にあるのはプリンのうつわ。スイーツ好きの間で人気の「ジャンボプリン」(400円)は、コーヒーとのバランスを考えた創業時からのレシピを引き継ぐ名物です。

コーヒーとのバランスを活かした「ジャンボプリン」

いかにもプリンらしい姿は、写真を撮る人も多くSNSでも人気
運ばれてきた「ジャンボプリン」は、一般のカッププリンの2.5倍ほどの大きさ。やや固めのプリンはなめらかで、卵のほのかな甘さをカラメルソースのほろ苦さが引き立てます。軽やかな味わいなので、あっと言う間に小さくなっていきます。

慣れた早業でカップからプリンを器に出していくマスターの森さん
マスターの森さんは、お店を始める前にレストランで料理の修行をしていたという経歴の持ち主。その腕前が活かされたプリンは、コーヒーに合うバランスで作られているそう。 型から取り出して器にのせ、型に残るカラメルを上からとろ~り。「このカラメルを煮詰める時間は1時間20秒に、3秒を足すひといきがポイントなんだよ」と話してくれながらも、てきぱきと手が動かします。

創業時から変わらないサイフォンで淹れるコーヒー
カウンター席ではサイフォンで淹れる様子を間近に見ることができる
森さんがお店を開店した当時は、小さなプリンを、ア・ラ・モードやパフェでデコレーションすることがスタンダードだったそうですが、たくさん食べてもらいたいからと、森さんがメニューにいれたのは大きめのプリン。「うちにはプリンはなくて、ジャンボプリンだけあるんだよ」とチャーミングに教えてくれました。 コーヒーはキーコーヒーのブレンドで、こちらもプリンと同じく創業時から出しているのだそう。プリンの甘さによく合う、穏やかな苦みのコーヒーです。

軽食にはふんわり柔らかなサンドイッチもおすすめ

「タマゴサンド」。注文を聞いてから食パンをスライスするパンは、ふかっとやわらかな食感
小腹がすいているときにはトーストやサンドイッチはいかが? 「タマゴサンド」(430円)は、マヨネーズで和えた卵の湯で加減がちょうどよく、ふんわりとした口当たり。ほんのり塩と胡椒がきいた、シンプルながらまた食べたくなる味わいです。

温もりを宿す、修繕しながら使うテーブルや椅子

「うちはこのあたりでいちばん古いんじゃないかな」と話す森さんの明るい人柄は建ち並ぶオフィスビルのなかで、温かさを放つお店の雰囲気のそのもののようです。常連さんも一見さんも、店を訪れるお客さんが「また来ますね」と声をかけていくのも印象的でした。 「ヘッケルン」で、コーヒーとプリンを楽しむひと時を過ごしてみませんか。

ヘッケルン
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朝光洋理 写真:小林利穂
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