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2025.03.24
京都・寺町の老舗「一保堂茶舗 京都本店」で出会う、ていねいに淹れた極上の日本茶
古くから茶の湯文化が育まれ、茶どころ宇治をいだく京都。日本茶を味わうには、これ以上の街はないかもしれません。数多ある京都のお茶屋さんのなかでも、広く名が知られている一保堂茶舗。そのお茶を扱う店は全国にも数多くありますが、せっかく京都に来たのなら本店へ足を運んでみませんか? ショップに併設された「喫茶室 嘉木」で、本店ならではのおいしいお茶にめぐり会えるかもしれませんよ。

老舗が軒を連ねる寺町通の日本茶専門店

歴史を感じる重厚な和建築。中に入るとその広さにびっくり
「一保堂茶舗 京都本店」へは、京都駅から地下鉄で約20分の京都市役所前駅で下車、寺町通を北へ向かいます。寺町通はギャラリーやアンティーク、工芸のショップをはじめとした専門店が多く、歩くだけでも楽しい通り。5分ほど歩くと見えてくる「茶 一保堂」の文字が染め抜かれたのれんが掛かる和建築が一保堂です。

江戸時代からの歴史を紡ぐ老舗茶舗

お茶の銘柄がずらり。大きく抹茶、玉露、煎茶、番茶類の4種に分類されている
一保堂の歴史は古く、創業は約300年前の1717(享保2)年。当時は、お茶以外の商品も扱っていましたが、幕末に皇族の山階宮(やましなのみや)から「これからは、お茶ひとつを保ちなさい」と「一保堂」の名を頂いたそうです。

棚に置かれた茶壷は、いつのものか分からないほど古いそう
一保堂が大切にしているのは、変わらぬ味筋(あじすじ)を保つこと。お気に入りの銘柄の味を、今年も来年も、何年経っても、世代を超えて楽しんでもらうことです。 ところが、お茶は農作物なので、気候などの影響を受け、年ごとに風味が異なります。そのため、複数の茶葉をブレンドして味筋を保つのです。この合組(ごうぐみ)と呼ばれるブレンドの技術こそが、一保堂のお茶の要になります。

香り高い日本茶を「喫茶室 嘉木」で体験

壁には「まあお茶でもお飲みなさい」という意味の「喫茶去」の文字が
そうして生み出された銘柄のうちのいくつかを味わえるのが、ショップに併設された日本茶カフェの「喫茶室 嘉木」です。 天井に木の細工が使われていたり、深い緑のタイルが壁を飾っていたりと、数寄屋造りのお茶室を感じさせるような遊び心のある店内。2023年秋に改装された際には、よりライブ感のある空間へと進化しました。

カウンターは、スタッフの手元を間近で見れる特等席
メニューは、抹茶、玉露、煎茶、ほうじ茶に和菓子のついたセットがメイン。淹れ方により味わいが大きく変化する日本茶だから、「日本茶のプロが淹れたとびっきりのお茶を飲みたい」、「家でもおいしいお茶が飲めるように淹れ方を教えて欲しい」という、どちらの希望にも対応してもらえます。

黒いお茶碗に鮮やかな緑の抹茶が映える
せっかくなので、抹茶の点て方を教わることにしました。抹茶の入ったお椀、少量のお湯、茶筅、季節のお菓子をスタッフが席まで運んできてくれます。 お茶、特に抹茶の場合は作法などが気になるかもしれませんが、嘉木では流派などには関係なく、茶舗の立場からおいしいお茶の点て方を教えてくれます。レクチャーは2~3分程度、質問もできますよ。

抹茶は、リズミカルに素早く点てるのがコツ

「薄茶 京極の昔」お菓子付き 1650円
点てたお茶はお菓子といただきます。抹茶は2銘柄から選べ、「京極の昔(きょうごくのむかし)」という雅な名の薄茶は、苦いという抹茶のイメージを覆してくれるまろやかな風味でした。

カジュアルにテイクアウトできる日本茶

「煎茶(芳泉)」540円。カップもかわいい
もっと気軽に本格的なお茶を楽しみたいのなら、テイクアウトもおすすめです。「一保堂のお茶といえば、まずこれです」と選び抜かれた銘柄が味わえ、玉露、煎茶、ほうじ茶、いり番茶が揃います。茶葉を購入する前のテイスティングにもなりそうですね。

煎茶は、最後の一滴に旨味がつまっている
スタッフに淹れてもらった「芳泉(ほうせん)」という煎茶は、甘さと渋さのバランスがよい一杯。煎茶は、最後の一滴まで注ぎ切ることが大切だそう。こうすることで、二煎目もおいしく飲めるのです。

おみやげには、京都本店限定の茶葉も

京都本店限定の「特撰煎茶」90g 3402円
ショップでは、本店でしか手に入れることができないお茶を、おみやげにどうぞ。「特撰煎茶」は、瑞々しい新芽を思わせる爽やかな香りが何煎飲んでも続くという銘柄。希少価値が高く本店限定の味となっています。

(左)すっきり爽やか「煎茶」648円、(右)甘くまろやか「玉露」810円
日本茶のティーバッグは、ふだん用にぴったり。1箱に12袋、個包装された状態で入っているので、大勢へのおみやげにも向きそうです。 また、このティーバッグのつまみの部分には、知る人ぞ知る隠れキャラが潜んでいるのだとか。20袋に1つくらいの割合で、着物を着た「イッポウさん」が登場するらしいです。見つけたら場が盛り上がりそうですね。

隠れキャラの「イッポウさん」を発見
こういう本格的なお茶を、シンプルに味わうことができるのも本店ならでは。ぜひ、お気に入りのお茶を見つけて、ふだんの暮らしのなかで味わってくださいね。

一保堂茶舗 京都本店
イッポドウチャホ キョウトホンテン
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文:戸塚江里子(らくたび) 撮影:道海史佳
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