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2022.01.07
諏訪湖畔をロマンティックに彩る新旧の洋館「かたくらシルクホテル」と「片倉館」
長野県・諏訪湖畔の温泉地として親しまれている上諏訪温泉。和風の温泉旅館が建ち並ぶなか、湖畔で目を引く洋風建築が「湖畔の洋館 かたくらシルクホテル」と日帰り温泉施設の「片倉館」です。地元の名士、片倉家の流れを汲む2つの施設。建築美を堪能したり、ロマンティックな気分に浸ったり、思い思いに楽しんでみませんか。
重要文化財の中で温泉を楽しめる特別な施設
100人が一度に入浴できるという千人風呂。深さが1.1mあり、立って入浴する
豊富な湯量と泉質の良さで知られる上諏訪温泉。気軽に利用できる日帰り温泉施設も点在しています。そのうちのひとつ、「片倉館」は昭和初期の建物で国の重要文化財に指定されている貴重な存在。製糸業で財を成した片倉家により、地域住民の厚生と社交の場として建てられました。浴場棟と会館棟の2つの建物は、1928(昭和3)年に建てられた当時の姿をほぼそのまま残しています。 ヨーロッパの厚生施設を参考にしたという浴室や館内は、異国情緒たっぷり。広々とした千人風呂では大理石の浴槽に満たされた温泉で温まりながら、浴室に飾られたステンドグラスや彫刻などを楽しめます。こぢんまりとしたジャグジー浴室もあるので、お湯とレトロなムードをゆっくりと味わってみてくださいね。
浴室のサイズは男女とも同じ。洋風の装飾を楽しんで(上、右下)。浴槽の底には玉砂利が敷き詰められ、心地よい刺激に(左下)
入浴の時間がとれない場合は、会館棟内の見学だけすることもできますよ。200畳もの広さがあり舞台も付いた大広間や、重厚な調度品、近代の著名人の書などが飾られた和室でたたずんでいると、知らず知らずのうちに思いは昭和初期の時代へ。歴史のロマンに浸るひとときを存分に味わうことができる空間です。
欧米のさまざまな建築様式を取り入れた個性的なデザイン。足を止めて撮影したくなるシーンも多い
片倉館
カタクラカン
伝統とモダンを兼ね備えた魅力に心ときめく
屋根の形など片倉館に近いイメージでデザインされた「湖畔の洋館 かたくらシルクホテル」の外観
2021年にオープンした「湖畔の洋館 かたくらシルクホテル」も、片倉家の歴史を受け継ぐ施設。美しくモダンな空間の随所に、歴史や伝統が感じられます。窓の外に中庭が広がるロビーにはレリーフを施した壁や大きな振り子時計があり、格調高い雰囲気に。2階のラウンジには、片倉家や製糸業の歴史を伝える貴重な品が展示されています。 また、3階には諏訪湖を眺めながらくつろげるラウンジがあり、諏訪湖周辺を描いた絵画やシルクを用いたアートが飾られるコーナーも。ゆったりとおだやかな気持ちで過ごせる空間が用意されています。
アート系の書籍やフリードリンクがあり、のんびりできる3階のラウンジ
シルクを用いたアートや諏訪周辺を描いた絵画など、館内を飾る装飾の数々もすてき
客室で過ごす時間を大切にしたくなる、多彩なしつらえ
KATAKURAと名付けられた、上質さが際立つ客室
客室は全部で10室以下。クラシカルとモダンの2タイプがあり、2階は重厚で落ち着いたムード、3階は明るくやわらかな雰囲気に統一されています。しつらえは一部屋ずつ異なるので、公式サイトなどを参考にして好みの客室を探してみてくださいね。 リビングスペースとベッドコーナーを別々に設けた、ゆとりある広さの客室。眺めを楽しみつつあたたかさも保てるようにと、開閉できる窓を備えた露天風呂や、諏訪や信州が誇る名品を取り入れた備品やアメニティなど、心地よく過ごすための心配りが感じられます。 温泉施設とホテルとしてそれぞれに歴史を重ね、存在感を放つ2つの洋館。上諏訪温泉を訪れて、ぜひその魅力にふれてみませんか。
照明やファブリックなど隅々に至るまで、こだわりが光る(上、右下)。諏訪湖を望む客室露天風呂は源泉かけ流し(左下)
湖畔の洋館 かたくらシルクホテル
コハンノヨウカンカタクラシルクホテル
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豊野 貴子 撮影:藤原 慶
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