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2023.04.16
クラシカルな店内で明治から続く幻の洋食に舌鼓/手間暇かけたハヤシライスやコロッケも人気
オムライスにハヤシライス、ハンバーグ。洋食は誰もが大好きなメニューだと思いますが、100年ほど前に西洋の料理を再現しようと試行錯誤して生み出した、日本にしかない独自の料理です。時代と共に進化や変化を遂げ今に至っていますが、今回紹介するのは、洋食草創期の味を守り続けているお店。今では見かけなくなってしまった、幻の洋食を味わうこともできますよ。
三重県津市の中心街に佇む、戦後から残る一軒家
JR津新町駅から徒歩10分ほどの場所にある、洋食店「中津軒」。天井の高い洋風の建物は戦後建てられたものですが、創業はさらに昔の明治時代。現在シェフをしている四代目の中田さんの曽祖父が創業したお店なのだそう。昔から使い続けているテーブルや椅子、レトロなポスター、タイル張りの床など、そこかしこに歴史を感じさせます。
今は数店の洋食店でしか食べることのできない「メアベア」
店の名物となっているのがこの「メアベア」という料理。聞きなれないメニューですが、創業時からある、デミグラスソースをベースにしたオーブン料理なのだそう。 見た目はハヤシライスのようですが、「メアベア」は牛肉や玉ねぎのほかに鶏肉、豚肉も使われています。具材をデミグラスソースと炒め合わせたら、グラタン皿に盛りオーブンで焼き上げ、最後に目玉焼きをのせて完成。3種類の肉を使っていて、当時からしても贅沢な料理だったことが想像できます。
「メアベア」(1200円)
どこで誰が作った料理なのかなどそのルーツは今では分からないそうですが、愛知県・岐阜県に数件この「メアベア」(ミヤビヤなど言い方が異なる場合も)を今も提供しているお店があるとか。東海地方で独自に進化した料理なのかもしれません。
ソースづくりなど、昔から変わらない製法を大切に
「オムハヤシ」(1300円)
「メアベア」などほとんどの料理の基本となっているのがデミグラスソース。ハンバーグやステーキを焼いたときの脂や牛脂のきれいな脂だけを取り出してルーを作り、旨みの詰まったフォンドボーと合わせて…と手間と時間をかけて作りげる作り方も創業当時から受け継がれています。 その美味しさをじっくりと味わいたいのであればハヤシライスがおすすめ。メニューにはないのですが、お店自慢のオムライスにハヤシライスソースをかけたオムハヤシをオーダーすることもできるのでぜひ。人気メニューが一度に楽しめます。
今は貴重となってしまったクラシックな洋食を
歴史あるお店なので常連のお客様が多く、オムハヤシもオムライスとハヤシライスを一度に楽しみたいというお客様のリクエストに応えて作ったものだそう。例えば毎月10日はコロッケの日となっていて、数量限定でゴロゴロとお肉が入ったオリジナルのコロッケを食べることができます。手間暇がかかるので、作ることができる日だけときどきコロッケを作っていたのですが、どうしても食べたいというお客様のために、日にちを決めて作るようにしました。
中津軒
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田口真由美
Writer
田口真由美

好物は古いものと発酵したもの。名古屋を拠点に町や人、美味しいものを訪ねる日々を過ごしています。
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