上野の森美術館にて開催中!「モネ 連作の情景」をレポート
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上野の森美術館にて開催中!「モネ 連作の情景」をレポート

※本展覧会は終了しました。2月10日(土)~5月6日(月・休)は大阪で巡回展を開催中です 東京・上野の森公園美術館では10月20日(金)より「モネ 連作の情景」が開催中。今回は、その展覧会のみどころをレポートします。

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国内外40館以上から代表作が出展!モネの”連作”に焦点を当てた展覧会

クロード・モネ(1840-1926年)は印象派を代表する画家。この展覧会では、印象派の誕生から150年の節目を記念し、国内外からモネの代表作60点以上を展示しています。日本でも親しみのある<積みわら>や<睡蓮(すいれん)>などをモチーフにした「連作」に焦点が当てられ、国内外40以上の美術館や博物館などから集められた作品の数々を出展。“すべてがモネ”という貴重な展覧会になっています。

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展覧会に入場すると、睡蓮の上を歩くことができるインスタレーションが目に飛び込んできます。この美しい光景にハッと驚かされました。そして展覧会は最初の章へと続きます。

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日本初公開《昼食》など「印象派以前のモネ」の人物画にも注目!

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(左上)1章 印象派以前のモネ会場風景、(右上)《昼食》1868-69年、(左下)《ルーヴル河岸》1867年頃(右下)《ザーン川の岸辺の家々》1871年

多くの風景画を手がけたことで知られるモネ。印象派の画家として活動する前には、人物画も制作していました。最初の章では、モネがのちに結婚することになるカミーユと、息子・ジャンを描いた大作《昼食》や《ルーヴル河岸》《ザーン川の岸辺の家々》など、日本で初めて公開される作品の数々を展示。モネの印象派以前の制作活動にも魅了されるエリアになっています。

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新しい発表の場へ「印象派の画家モネ」

次の章では、1870年代から80年代にかけて、モネがセーヌ川流域を中心にして描いた風景作品が展示されています。 1871年末から、モネはパリ郊外のアルジャントゥイユで暮らし始めました。当時フランスの画家にとって主要な展覧会であったサロン(官展)から距離を置いて、 モネは仲間たちとともに1874年4月に第1回印象派展を開催。新しい発表の場を開きました。

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(左)《ラ・ロシュ=ギュイヨンの道》 1880年、(中)《ヴェルノンの教会の眺め》1883年、(右)《ヴェルノンの眺め》1886年

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《モネのアトリエ舟》の中に描かれたセーヌ河に浮かぶ舟は、モネがボートの上に小屋を設けてアトリエとして使用していたもの。奥にはアルジャントゥイユの森や遊歩道、建物が描かれています。モネはこの舟に乗って川面や水辺の光景を多く描いたと言われています。このセクションではその絵画の数々を鑑賞することできますよ。
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情景の変化を比較した「テーマへの集中」

モネは新たな制作テーマを探し求め、パリ近郊やノルマンディー、ブルターニュ、地中海の港町など、ヨーロッパ各地を訪れました。こちらの章では、モネが何度も訪れたノルマンディー地方のプールヴィルの海岸やエトルタの奇岩などの風景を描いた作品を中心に展示されています。

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(右)《ラ・マンヌポルト(エトルタ)》1883年、(左)《エトルタのラ・マンヌポルト》1886年

特に、切り立った断崖と奇岩が印象的なエトルタの海辺を描いた作品は見どころのひとつ。奇岩<ラ・マンヌポルト>をクローズアップして描かれたこの2つの作品は、制作年に3年の差があります。縦横の構図の違いや色使いにも変化が見られますね。 このように同じモチーフであっても季節や天候、時間帯によって、海や空、山や岩の表情が絶えず変わる様子がモネによってキャンバスに据えられています。この展覧会ではその変化を比較して鑑賞できる点が特に魅力的です。

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また、キービジュアルとしても知られている《ヴェンティミーリアの眺め》もこちらのエリアで鑑賞できます。この時期のモネの作品は青やピンクなどの明るい色合いが増えていることにも注目してみてくださいね。

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展覧会のみどころが詰まった「連作の画家、モネ」

展覧会のもうひとつの見どころは、複数の「連作」を一堂に鑑賞できること。特に「連作の画家」としてのモネにスポットを当てています。 1883年、モネはセーヌ川流域のジヴェルニーに移住。「連作」の手法を実践し始めたとされています。自宅近くの積みわらが秋になると、変化する光景を同時進行で描いていたのだそう。

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(左)《積みわら》1885年、(右)《ジヴェルニーの積みわら》1884年

季節ごとに描かれた積みわらの情景をゆったりと眺めていると、今にも秋風がそよいできそう。

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《積みわら、雪の効果》1891年

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(左)《クルーズ渓谷、日没》1889年 、(右)《クルーズ渓谷、曇り》1889年

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(左)《ウォータールー橋、ロンドン、日没》1904年、(中)《ウォータールー橋、ロンドン、夕暮れ》1904年、(右)《ウォータールー橋、曇り》

また、1899年以降モネがロンドンを訪れた際の<チャリング・クロス橋>や<ウォータールー橋>などの連作も。 この「連作」のアイデアは、モネが日本の浮世絵に影響を受けていると言われています。会場ではそんな連作を間近で体感できるチャンス。ひとつひとつじっくりと見比べてみてくださいね。

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モネの情熱がおだやかに伝わる《睡蓮》とジヴェルニーの庭

モネの代表作のひとつである《睡蓮》も、この展覧会で楽しむことができます。最後の章では、ジヴェルニーの村やモネの庭、睡蓮の池をテーマにした作品の数々が展示されています。

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(左)《睡蓮の池》1918年頃、(右)《睡蓮》1897-98年頃

モネは絵の制作と庭造りに情熱を注いでいて、その中でも《睡蓮の池》は、彼の晩年に視覚障害を抱えながら制作された大作のひとつ。このセクションでは、その壮大な作品群を時間を忘れて、じっくり鑑賞したくなる空間になっています。

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個性豊かなギフトショップにも注目!

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展覧会を訪れた際には、ギフトショップにも注目。今回の展覧会では、作品の中にでてくる”積みわら”がモチーフになった「積みわらクッキー」や「れモネーど飴缶」などパッケージも魅力的な商品が盛りだくさん。スヌーピーで有名な「PEANUTS」や、ファッションブランド「UNITED ARROWS」など、様々な企業とのコラボレーションも見逃せません。 「モネ 連作の情景」は、上野の森美術館で2024年1月28日(日)まで開催されています。今回ご紹介したのは、その中でもほんの一部。ぜひ会場で移り変わる風景とその情景を描くモネの繊細な筆使いを体感してみてください。 また、2024年2月10日(土)からは、大阪中之島美術館での巡回展も予定されているので、お近くの方はぜひ足を運んでみてくださいね。

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モネ 連作の情景

モネ レンサクノジョウケイ

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東京都 台東区上野公園1-2 上野の森美術館

pin-icon2023-10-20 2024-01-28
clock-icon9:00〜17:00 金・土・祝日は〜19:00 ※入館は閉館の30分前まで
pin-icon2023年12月31日(日)、2024年1月1日(月・祝)
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https://www.monet2023.jp
入館料: 平日(月〜金):一般 2,800円/大学・専門学校・高校生 1,600円/中学・小学生 1,000円 土・日・祝日:一般 3,000円/大学・専門学校・高校生 1,800円/中学・小学生 1,200円

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物撮り写真家 モリサワ ジュンコ

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魅力あふれるモノゴトをインスピレーションとともにお伝えします。デザインやアート、建築が好き

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