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2024.10.19
アートも楽しめる京都祇園の禅寺「西来院」で、ブルーボトルコーヒーを味わい喫茶去を体験♪
「喫茶去(きっさこ)」とは、「まあ、お茶でも飲みなさい」という意味の禅の言葉。その心を形にした寺院が京都の祇園にあります。2024年3月から一般公開を始めた「西来院(せいらいいん)」は、庭園やアートに囲まれた心地よい空間で、ブルーボトルコーヒーとお茶の辻利がコラボした、ここだけの限定抹茶ドリンクを片手に時を過ごせる寺院です。忙しい日常から離れた癒やしの場として、ぜひ西来院を訪れてみませんか。
京都最古の禅寺「建仁寺」の塔頭寺院です
西来院の山門。ブルーボトルコーヒーの看板が目印
「西来院」へは、京都駅からバスで約30分の祇園で下車。祇園のメインストリートである花見小路を南へ進み、その突き当りの建仁寺境内にあります。 建仁寺を鎌倉時代に開いた栄西は、禅宗とともにお茶を飲む習慣、喫茶を中国から日本に伝えた僧侶。今も境内には茶園があるほど、お茶とはゆかりが深い寺院なのです。 その建仁寺の11代目の住職、中国出身の蘭渓道隆(らんけいどうりゅう)が住んでいたお寺が、後に西来院へと改められました。2028年が蘭渓道隆が亡くなってから750年の節目の年にあたることから令和の大改修が行われ、一般に公開する運びとなりました。
西来院のブルーボトルコーヒーでしか飲めない限定メニューもある
山門をくぐると、すぐ右手にブルーボトルコーヒーの白いトラックを発見! 西来院の敷地内であれば、ドリンクを自由に持ち歩いて飲めます。もちろん、お堂に上がって腰を下ろし、お庭を前にリラックスタイムを過ごす、というのもOK。まさに、現代の「喫茶去」ですね。
令和の大改修を終え、新たな姿を見せる3つの庭園
玄関前の庭「九華青蓮(きゅうかしょうれん)」
今回の大改修では、庭や本堂など、境内すべてが一新されました。庭園を手がけたのは、庭師の中根行宏さんと、中根直紀さん。 玄関には、一息つけるよう小さなテーブルが置かれ、その前には苔に覆われた庭が広がります。石の配されたゆるやかな起伏は、中国の霊山・九華山を表すそう。故郷を見ることなく日本で亡くなった蘭渓道隆が生まれ育った地、中国の風景です。 また、石が青みがかっているのは、ブルーの瞳をもつお釈迦様にちなんでのことなのだとか。
本堂前の庭「峨嵋乗雲(かびじょううん)」
本堂の前庭には、白砂が広がり優しいカーブを描く苔地。この庭には、蘭渓道隆が修行した仏教の聖地、峨眉山(がびさん)から運ばれた石が配されています。 帰国を果たせず日本で亡くなり、今も本堂にお祀りされている蘭渓道隆が、この庭を通して雲海に包まれた峨眉山の情景を見ているかもしれませんね。
坪庭を囲む縁側にも座布団が置かれ、座れるようになっている
坪庭には、サラサラと葉擦れの音をたてる竹と天を象徴する水鉢、地を象徴する井戸が。よく見ると、季節の花が浮かぶ水鉢には青空が映り込んでいます。この日は、蘭渓道隆の名にちなんだ紫の可憐な「蘭」が庭に彩りを添えていました。
時代を切り開くアーティストも参加
畳54畳分にもなる巨大な絵画を天井に貼るには、大変な苦労があった
本堂の天井には、若い龍と年老いた龍、勇壮な2頭の龍が空を舞います。筆をふるったのは、中国のビジュアルアーティスト陳漫(チェンマン)さん。建仁寺の塔頭寺院である霊源院へ座禅を体験しに訪れたことがきっかけとなり、今回の西来院の天井画「白龍図」を手がけることになったそうです。
有無を言わせぬ迫力がありながら、どこかユーモラス
お寺には、もう一つの龍の絵も。京都が生んだロックな壁面絵師として知られるキーヤンこと、木村英輝さんの屏風絵「登竜門」です。鯉が滝を登ると龍になるという言い伝えを描いたものですが、阿吽の龍が正面を向いているという斬新な構図。鮮やかな青の色使いが、いつまでも心に響きますね。
禅宗で円い形は大宇宙を表す。水のリフレクションも美しい
さきほどの坪庭に置かれていた水鉢も、実はアーティストの作品。彫刻家の樂雅臣(らくまさおみ)さんは、この庭のために2つの水鉢を彫り上げ、最終的には、禅寺の庭に合う力強い印象のものが採用されたそうです。
苔庭を前に、椅子に揺られて癒しの時間を
まだまだあります。なんと、こちらのロッキングチェアは見るだけでなく、実際座ってみることもできます。家具作家・彫刻家の中村達薫さんは、聖徳太子の時代から神社仏閣の建築に携わる金剛組で修行、北欧デザインにも影響を受けたという異色の経歴の持ち主。何ともいえない繊細な曲線が特徴です。
ここでしか味わえないブルーボトルコーヒーの抹茶ラテ
西来院限定の「抹茶ラテ」928円(HOT、ICEとも)
癒やしの空間を堪能したら、もうひとつの癒やし「喫茶去」を。境内のブルーボトルコーヒーでは、宇治茶の祇園辻利とコラボした抹茶ラテが味わえます。使われているのは、「十徳」というお濃茶に使われる極上の抹茶。コーヒーに合う羊羹などのプチスイーツもありますよ。 もともと、喫茶去とは「茶でも飲んで出直して来なさい」という叱責の言葉。現代では「まあお茶でもどうぞ」という意味に捉えられています。そのどちらにも共通するのは、現実から少し距離をおいて、静かに自分と向き合いましょうという心。この秋は、西来院でそんな穏やかなときを過ごしてみませんか?
西来院
セイライイン
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文:戸塚江里子 写真:保志俊平
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