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2013.12.27
大晦日、京都の夜空に響く壮大なる「除夜の鐘」
大晦日の夜空に響き渡る、数ある京都の除夜の鐘の中から、最も大きな「知恩院」の鐘、最も重い「方広寺」の鐘、“撞かずの鐘”を撞く「報恩寺」の鐘の3つをご紹介します。
17人がかりで撞かれる、日本最大級を誇る「知恩院」除夜の鐘

一年最後の大晦日の夜は、昔から年神(としがみ)を迎るために一晩中寝ずに起きていたことから“夜を除く”と書いて「除夜」と呼ばれ、この除夜に人びとの煩悩を消すために撞かれる鐘が「除夜の鐘」です。除夜の鐘は108あるという人間の煩悩を除くために108回撞かれ、京都市内の寺院ではそれぞれの作法に従って鐘が撞かれ、新しい年を迎える準備が行われます。 日本最大級の鐘といえば、浄土宗総本山「知恩院」の梵鐘です(メイン画像)。日本三大梵鐘のひとつに数えられ、江戸初期の1636(寛永13)年に鋳造された梵鐘は、高さ3.3m、口径2.8m、重さは約70tを誇り、その大きさから1本の親綱を引く僧と16本の子綱を引く僧、あわせて17人がかりで鐘が撞かれます!そのダイナミックな撞き方と重厚な音色は人びとを圧倒し、毎年、約3万人もの人が訪れる京都の大晦日の恒例行事です。 大晦日の22時40分、知恩院の大鐘楼で僧侶による読経が終わると、いよいよ鐘撞きが始まります。“えーいひとつ、そーれ”の掛け声で16人の僧が子綱を一斉に引くと、親綱の僧が後ろ向きに飛んで力強く鐘を撞き、まさにその光景は圧巻です。厳かな雰囲気の中、罪障消滅と世の安穏を祈りながら約1分間隔で108回の鐘の音が東山に響き渡ります。 【知恩院・除夜の鐘当日のスケジュール】 [12月31日] 20:30 参詣入口開門 22:35 大鐘楼での法要 22:40 除夜の鐘開始 23:00 参詣入口閉門 ※境内の収容可能人数を上回った場合は閉門時間を繰り上げる場合あり [1月1日] 0:30頃 鐘撞き終了 〇知恩院(ちおんいん) [所]京都府京都市東山区林下町400 [TEL]075-531-2111 [HP]http://www.chion-in.or.jp/index.php
歴史に名を刻む秀吉ゆかり「方広寺」の巨大な梵鐘

日本で最も重い梵鐘といえば、知恩院の約70tを上回り、なんと重さ約80tを誇る「方広寺」の梵鐘です。京阪・七条駅から七条通を東へ、京都国立博物館の北側に位置する方広寺は、1586(天正14)年、豊臣秀吉によって創建された寺院で、かつては奈良・東大寺を凌ぐ高さ19mもの大仏を安置し、広大なる敷地を誇っていました。しかし、完成から間もない慶長伏見の大地震によって大仏はもろくも倒壊し、再建が果たせないまま秀吉は世を去りました。 現存する巨大な梵鐘は、秀吉の息子・秀頼が大仏再建時に鋳造した梵鐘で、豊臣家の威信をかけて造られた立派な梵鐘でしたが、鐘の側面に刻まれた「国家安康・君臣豊楽」の文字が天下人・徳川家康の怒りに触れて、これがきっかけとなって大坂冬の陣・夏の陣へと対立は進展し、豊臣家滅亡へと導かれてしまいました。日本史にその名を刻む方広寺の鐘の音が聞けるチャンスは大晦日の除夜の鐘のみ。ぜひとも訪れてみてください。 〇方広寺(ほうこうじ) [所]京都府京都市東山区茶屋町527-2 [日時]12月31日23:50頃~ ※先着順で108回
「報恩寺」“撞かずの鐘”が撞かれる除夜の鐘

さて最後に、数ある京都の除夜の鐘の中から“撞かずの鐘”と呼ばれる伝説の鐘が撞かれる「報恩寺」の除夜の鐘をご紹介しましょう。堀川寺之内の交差点から東へ、小川通を南に歩いたところに建つ報恩寺には、平安時代に鋳造されて、江戸時代の大火でも焼失しなかった梵鐘があります。 報恩寺の梵鐘は、かつて西陣の織屋の仕事の交代を告げる鐘として撞かれていましたが、ある時、織屋の丁稚と織子が“夕方の鐘はいくつなるか”ということで賭けをして、賭けに負けた織子が鐘楼に帯を掛けて首を吊って亡くなったとか。それ以来、寺院では鐘を撞かなくなったことから「撞かずの鐘」と呼ばれるようになりましたが、現在では大晦日のみ、“撞かずの鐘”が撞かれて美しい鐘の音が夜空に響き渡ります。 〇報恩寺(ほうおんじ) [所]京都府京都市上京区小川通寺之内下ル射場町579 [TEL]075-414-1550 [日時]12月31日 23:45頃~1月1日 25:00頃まで ※先着順で108回
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森 明子
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