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2014.11.22
京都の秋を黄色く染める、イチョウの名所へ
※こちらの記事は2014年11月22日に公開されたものです。 鮮やかに色づいて天高くそびえるイチョウの姿や落葉が、辺り一面を黄色に覆い尽くす風景もまた秋らしいもの。今回は、京都のイチョウの名所をご紹介します。(メイン写真:西本願寺・阿弥陀堂前のイチョウ)
イチョウによって火災を免れた「西本願寺」
御影堂前の「水吹きイチョウ」は、枝ぶりが横に広がるところから「逆さイチョウ」とも呼ばれています
市バス・西本願寺前バス停からすぐの場所にある「西本願寺」は、御影堂をはじめとする大伽藍と国宝建築が建ち並ぶ、浄土真宗本願寺派の本山です。本願寺は文永9(1272)年、宗祖・親鸞聖人の墓を守る寺院として創建され、移転を繰り返したのち、天正19(1591)年に現在地に定まり、慶長7(1602)年に東本願寺が分立して以後は「西本願寺」と称されるようになりました。現在は、境内に数々の国宝建造が建ち並ぶ世界遺産のひとつとして名高く、全国から参拝者が訪れる信仰の寺として賑わいを見せています。 晩秋の境内でひと際目を引くのは、巨大なイチョウの木々です。とくに阿弥陀堂前のイチョウは、思わず息をのむほどの鮮やかな黄色の色彩と、見上げるほどの大きさに圧倒されます。さらに御影堂前のイチョウは「水吹きイチョウ」と呼ばれ、江戸中期の天明の大火でお堂に炎が燃え移りそうになった際、イチョウが勢いよく水を噴き出して燃え盛る火を鎮めたとの伝説があります。今年、大イチョウが火災から守った御影堂や阿弥陀堂は国宝に新たに指定され、江戸時代の面影を現代に伝えています。 ○西本願寺(にしほんがんじ) [所]京都市下京区堀川通花屋町下ル [TEL]075-371-5181 [時間]5:30~17:00(11/1~2/28)
市民の憩いの場「京都御苑」を静かに彩る、公家屋敷跡の大イチョウ
御所の建礼門の南にある「凝華洞跡」。幕末に松平容保も仮宿所した当地には、幕末の歴史を語るかのような大イチョウが人知れずたたずんでいます
地下鉄・丸太町駅や今出川駅を下りてすぐ、広い敷地を持つ「京都御苑」は、京都御所を中心とした自然豊かな国民公園です。江戸時代まで御所の周りには公家の邸宅が建ち並ぶ公家町が広がっていましたが、明治維新を迎えて明治天皇が東京へ移ると公家達も続々と移住し、次第に公家町は荒廃しました。その後、明治10(1878)年、御所や公家町が荒れ果てた様子を嘆いた明治天皇によって御所とその周辺が整備されたことをきっかけに、公家町は京都御苑へと姿を変えました。 木々に囲まれた京都御苑は、カエデや落葉樹の色づきが美しく、秋の風情を楽しみながら心地よいひとときを過ごせるエリアです。かつて公家屋敷に植えられていた木々は巨木となって御苑内に残り、水分が多く防火のために植えられたというイチョウの大木も点在しています。一條邸跡、凝華洞(ぎょうかどう)跡などで静かにたたずむ大イチョウは、公家屋敷があった時代の面影を今に伝えているかのようです。 ○京都御苑(きょうとぎょえん) [所]京都市上京区京都御苑3 [TEL] 075-211-6348(環境省 京都御苑管理事務所) [時間]苑内自由
樹齢800年の大イチョウに心をひかれ、鵺退治の伝説に思いを馳せる「大将軍神社」
見上げるほどの雄大なイチョウがそびえ、晩秋の境内は華やかな雰囲気に包まれます
京阪・三条駅から東へ徒歩5分ほど歩いた場所にある「大将軍(たいしょうぐん)神社」は、延暦13(794)年の平安遷都に際して、王城鎮護のために都の四方に祀った大将軍社のひとつとされる社です。かつて神社の周りには深い森が広がり、平安末期には隠れるように棲みついていた妖怪・鵺(ぬえ)が、夜な夜な黒雲にまぎれて御所にやってきては天皇を苦しめたといい、武士の源頼政(よりまさ)によって見事に退治されたと伝わります。 境内には樹齢800年という大イチョウがそびえ、神社の長い歴史を象徴しているかのよう。例年12月上旬頃のイチョウの葉が散る頃がとくに美しく、境内一面をまるで黄色の絨毯のように色鮮やかな落ち葉が覆い、訪れる人びとを魅了します。 ○大将軍神社(たいしょうぐんじんじゃ) [所]京都市東山区三条大橋東三丁目下る長光町640 [時間]境内自由
美しいイチョウ並木と素敵な散策路が貫く「堀川通」
堀川通の中央に立派なイチョウの並木が続き、その下は散策路になっています
地下鉄・今出川駅から西へ徒歩10分程歩くと「堀川通」があり、今出川通から紫明(しめい)通にかけての中央分離帯には、立派なイチョウ並木が続いています。 車窓や歩道からダイナミックな秋模様を楽しめる一方で、中央分離帯のイチョウ並木の下は一部が公園として整備されています。晩秋は一面黄色の落ち葉が覆う素敵な散策路となり、道路の真ん中に晩秋だけの秘密の小径があらわれます。 晩秋の京都では、真っ赤なカエデはもちろん、太陽の光に照らされて光輝く黄色のイチョウもおすすめ。神社や寺院の境内を彩り、公園や大通りに美しい並木を見せるイチョウを探して、ぶらりと深まる秋の京都を歩いてみましょう。 ○堀川通(ほりかわどおり)のイチョウ並木 [所]京都市上京区(堀川通の今出川通~紫明通間) [時間]散策自由
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写真/吉村 晋弥
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