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2014.11.18
秋色に染まる京都の名庭、紅葉が彩る極上の庭園美へ
※こちらの記事は2014年11月18日に公開されたものです。 日に日に秋が深まり、いよいよ京都の紅葉シーズンが本格的に始まります。華やかな紅葉の季節は、風情あふれる京都の名庭巡りがおすすめ。今回は京都らしい庭園美をより引き立てる紅葉名所をご紹介します。(メイン写真:天龍寺の曹源池庭園)
早朝の絶景庭園を望む、禅宗の名刹「天龍寺」
‟一滴の水は万物の根源である”という禅語から名付けられた曹源池庭園。鏡のような水面に「逆さ紅葉」が映り込みます
嵐山にある世界遺産の「天龍寺」は、暦応2(1339)年、室町幕府の初代将軍・足利尊氏が後醍醐天皇の菩提を弔うために創建した禅宗の名刹です。方丈の前に広がる曹源池庭園は、嵐山を借景とした京都でも有数の雄大さを誇る名庭で、禅僧・夢窓疎石が作庭しました。嵐山の自然美と人の手によって築かれた造形美が見事なまでに融合した庭園美は、国の特別名勝にも指定されています。 天龍寺では、紅葉期間中の11月30日まで朝7時半から早朝拝観が行われ、凛とした空気の中で、斜めに射し込む朝日を浴びて紅葉が明るく輝き、透き通るような池の水面に嵐山とともに紅葉が映り込む、素晴らしい眺めを目にすることができます。昼間は賑わう天龍寺も早朝は人が少なく、静かな境内を歩きながら、贅沢な時間を過ごせることでしょう。 ○天龍寺(てんりゅうじ) [所]京都市右京区嵯峨天竜寺芒ノ馬場町68 [TEL]075-881-1235 [時間]11/8~11/30 7:30~17:00(12/1からは8:30~) [拝観料]庭園500円、諸堂参拝は庭園拝観料に100円追加
世界に名高い石庭が色彩に華やぐ「龍安寺」
紅葉とのコントラストが美しい石庭。縁側に座り、その謎に思いを馳せてみよう
市バス・竜安寺前バス停を下りてすぐの場所にある「龍安寺」は、宝徳2(1450)年、守護大名・細川勝元が徳大寺家の山荘を譲り受けて創建した禅宗の寺院です。方丈前の石庭は「虎の子渡しの庭」や「七五三の庭」とも呼ばれる枯山水庭園で、白砂に点在する15個の石を同時に見ることができないとされ、作庭年代や作者も不明という謎の多さからも、世界中の人びとを魅了しています。 晩秋の石庭は、土塀からせり出すように紅葉が彩り、ひとつの絵画を見ているかのよう。豊かな色彩に心癒されながら、縁側に腰掛けてじっくりと眺めを楽しみましょう。龍安寺では鏡容池と呼ばれる池の周りも紅葉が美しく、特に黄色の色づきが目を楽しませてくれます。境内は紅葉の色づきが比較的遅く、例年12月に入っても彩りに包まれています。 ○龍安寺(りょうあんじ) [所]京都市右京区嵯峨天竜寺芒ノ馬場町68 [TEL]075-881-1235 [時間]8:00~17:00(12/1からは8:30~16:30) [拝観料]500円
紅葉彩る苔庭と石組みに情緒を感じる、京都最古の禅寺「建仁寺」
潮音庭は南北の建物と東西の回廊、どの方角からも美しい四方正面の庭。歩くたびに変化する庭の眺めを感じてみて
京阪・祇園四条駅から南西へ徒歩約10分の場所にある「建仁寺」は、建仁2(1202)年に臨済宗の宗祖・栄西によって開かれた京都最古の禅寺で、室町時代には京都五山のひとつにも数えられた格式ある寺院です。 本坊裏の潮音庭(ちょうおんてい)は、苔庭の中央に三尊石を組み、その周りを紅葉が彩る枯山水の庭。不要なものを一切置かない洗練された美空間の中を紅葉が優しく飾り、建物内からはまるで光が庭へと降り注ぐような神秘的な雰囲気さえ感じられます。縁側の赤い毛せんに座り、ゆっくりと時間を過ごしてみては。 ○建仁寺(けんにんじ) [所]京都市東山区大和大路通四条下る小松町 [TEL]075-561-6363 [時間]10:00~16:00 [拝観料]500円
色とりどりのグラデーションが優美な「泉涌寺」御座所庭園
色彩豊かな御座所庭園の眺めは紅葉の時期ならでは
市バス・泉涌寺道バス停から、東へ10分ほど歩くと皇室ゆかりの「泉涌寺(せんにゅうじ)」があります。平安初期に空海が草庵を結んだことに始まり、鎌倉時代に月輪大師が大伽藍を造営して再興した際に、清らかな泉が境内に涌いたことから「泉涌寺」と名付けられました。境内には歴代天皇や皇族の陵墓があるため「御寺(みてら)」と称され、また観音堂の楊貴妃観音像は美人祈願で女性からの信仰を集めています。 泉涌寺の境内奥に建つ「御座所(ござしょ)」は、明治時代に京都御所の御殿を移した雅な建物で、内部には狩野派によって襖絵が描かれています。御座所庭園は優美な御所風に作られ、紅葉の時期は赤や黄色、苔や常緑樹の緑が見事なまでに調和した素敵なグラデーションが目に飛び込んできます。縁側に座り、その芸術美を心行くまで堪能しましょう。 京都には、池泉庭園や枯山水庭園など洗練された庭園美があり、晩秋は見事な紅葉がその美しさをさらに引き立てます。日常から離れ、京都らしさを感じる素晴らしい風景へと足を延ばしてみませんか。 ○泉涌寺(せんにゅうじ) [所]京都市東山区泉涌寺山内町27 [TEL]075-561-1551 [時間]9:00~16:30(12/1からは~16:00) [拝観料]伽藍のみ500円、御座所は別途300円
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写真/吉村 晋弥
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