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2021.05.03
できたて季節のデザートにうっとり!「Ensoleillé」パティシエ・杉江綾さんに伺う、予約制デセールへの思い
京都・出町柳にある「Ensoleillé(アンソレイユ)」は、パティスリーやレストラン、ホテルなどで活躍してきたパティシエ・杉江綾さんが手がける予約制のお店。店内のカウンターでは、目の前のキッチンで仕立てたデセールコースやパフェを楽しむことができます。今回は杉江さんに、お店やメニューについてのお話を伺いました。
2020年12月オープン♪カウンター5席のお店「Ensoleillé」

雰囲気作りも大切にしている杉江さんならではの、洗練された空間
京阪出町柳駅から歩いて5分ほど。ガラス張りのお店を入ると、アンティークのインテリアやドライフラワーが印象的な、落ち着きのある空間が広がります。「Ensoleillé」ではデセールコースを提供する日と、パフェを提供する日がひと月に半分ずつ分かれています。
目の前でできあがったデザートをいただけるアシェットデセールのスタイルですね。
最初に働いていたケーキ屋さんが喫茶店の跡地で、カウンターがあるところだったんです。カウンター越しでお客さまと会話をする機会が多かったのですが、それがすごく楽しくて。
当時アシェットデセールをやりたいとはっきり決まっていたわけではないのですが、「カウンターがあるお店っていいな」というところから始まりました。
これまでの経験を生かした、こだわりの空間

パティシエの杉江綾さん
東京や京都、和歌山などさまざまな地で経験を積まれたそうですね。
これまでケーキ屋さん、ホテル、レストランなどいろんな場所で働いてきました。2019年の12月頃からは、京都の寺町にあるシェアキッチンでデセールコースの営業を不定期でさせてもらうようになって。その中でお店をオープンしました。
京都はご出身でもある滋賀とも近いですね。
滋賀でお店をしたいという思いもあったのですが、シェアキッチンでお店をやっていくうちに京都のお客様とのご縁ができたということもあって、京都でお店をはじめました。
滋賀で出会った農家さんの果物を使ったりして、滋賀のいいところも発信していきたくて。お店で出しているお茶やお皿も、滋賀で作られたものが多いです。

過去には農家さんとお客さまが一緒に楽しめるような会を設けたこともあるのだそう
旬の果物を使っていたり、素材選びにもこだわっているんですね。
農家さんのところに直接行ってやり取りをしています。私自身、もの作りをされてる方にとても興味があるので、そういうところへ行くのは趣味でもあります。
あとは刺激とインプット。「完熟がすべてではなくて、あえて甘さが出る前の青い状態もいいよね」といった発見があったり、農家さんとお話をして得ることは多いです。
いちごが贅沢に盛り込まれたチョコレートテリーヌ

デセールコースの一例。内容は取材時のもの
今回は7皿で構成されるデセールコースから、季節限定の3皿を紹介してもらいます。こちらはどのようなメニューでしょうか?
いちごのチョコレートテリーヌです。テリーヌの中にいちごとフランボワーズを練り込んでいて、上にはいちごと桜風味のホイップクリーム、自家製でセミドライにしたいちご、いちごをシロップに浸けて乾燥させたクリスティヤンをのせています。季節によって上にのっているものや中に入っている味わいが変わります。

デザートができあがっていく様子をじっくり眺めたくなる
季節ごとに旬の果物を取り入れていくんですね。
今回は、滋賀の下笠いちご農園さんの「幸の香」を使っています。チョコレートの中にも旬を感じていただきたいという思いがあって。
お皿も滋賀の作家さんのもので、和歌山でお世話になっているシェフから紹介してもらいました。白すぎない、あたたかみのある白がいいですね。形もスタイリッシュ。
はっさくの酸味、抹茶と菜の花のほろ苦さを楽しむ

デセールコースの一例。内容は取材時のもの
アイスクリームには菜の花が入っているんですね。
ほろ苦さを出したくて、抹茶のアイスクリームに春らしい菜の花を入れました。 メレンゲの下に和歌山の藏光農園さんのはっさくとはっさくソース、自家製レモンチェロ(レモンのお酒)を混ぜたホイップクリームが隠れています。
上にのせた丸いメレンゲには、乾燥させた菜の花をくっつけました。メレンゲとアイスクリームを使ったフランスのお菓子「ヴァシュラン」をイメージしています。

はっさくをていねいに房取りする
こちらの器も滋賀の作家さんのものなんですね。
このガラス皿は、琵琶湖の水草が練り込んである「琵琶湖彩(びわこいろ)」と名付けられたガラスで作られています。農家さんだけでなく、器を作られている作家さんのところにも足を運ぶことが多いです。
小菓子にも季節の味わいが

3種盛りの小菓子。内容は取材時のもの
チーズケーキは通年で出しているそうですね。
こちらは1番最後に出す小菓子で、チーズケーキは定番で出しています。私の母が作ってくれたチーズケーキがベースになっていて、少し懐かしさを感じるような味わいです。
ほかの2品は甘夏のケーキと柑橘の生キャラメルで、どちらも和歌山にある農園の柑橘を使っています。小菓子は、3種類とも毛色がちがうものにしたいと心がけています。
主役となる素材の魅力を引き出していく

現在は予約制だが、「ゆくゆくはカフェのようにふらっと来て利用できる日も作っていきたい」という杉江さん
杉江さんのスイーツに対する思いを聞かせてください。
農家さんが一生懸命作ってくださった素材が主役。素材が生きるようにするのはもちろん、例えば「かわいい面もあれば、こんなに冷たい部分もあるよ」といった感じで新しい一面、違う一面も見せていきたいです。
カウンターのお店なので、果物を作っている人や場所といった背景についても、興味を持ってくださった方にお話したいと思っています。
今回ご紹介したメニューは取材時のもので、約1か月ごとに内容が変わります。お店はインスタグラムのDMまたは電話での予約制。 こだわり抜いた空間と、その時々のおいしい食材を生かしたとっておきのデザートで、至福のひとときを過ごしてみてはいかがでしょうか。

Ensoleillé
アンソレイユ
京都府 京都市上京区栄町359-1 1F
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Union Synapse 写真:佐藤佑樹
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