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2023.07.21
7/15-10/1|大人から子どもまで!絵本をめくるように冒険が楽しめる「エルマーのぼうけん」展
東京・立川にあるPLAY! MUSEUMでは現在、2023年7月15日からスタートした「エルマーのぼうけん」展が開催中!いったいどんな内容になっているのでしょうか?今日は実際の会場の様子をレポートしていきたいと思います。
美しい約130点の原画や資料が勢ぞろい!エルマーシリーズ日本初の展覧会

最初の挿絵。エルマーが雨の日にのらねこに出会うシーン
「エルマーのぼうけん」シリーズは、9歳の男の子・エルマーが機転をきかせて数々の困難を乗り越えていく冒険の物語。1948年から1951年にかけて「エルマーのぼうけん」「エルマーとりゅう」「エルマーと16ぴきのりゅう」の3作がアメリカで出版。ニューヨーク出身の作家ルース・スタイルス・ガネットさんが物語を、義母であるルース・クリスマン・ガネットさんが挿絵を手がけた世界的にも有名な物語です。日本では、日本語版が発売され今年で60周年。累計70万部を超えるベストセラーとして広く愛されている作品です。 今回の展示では、アメリカ・ミネソタ大学図書館のカーラン・コレクションが所蔵する約130点の美しい原画を日本で初めて公開。70年以上前に描かれた色鮮やかな表紙や地図、作者が所蔵する手作りの本の原型であるダミー本、貴重な資料なども初めて公開される他、まるで物語の世界を冒険するかのような空間とともに紹介されています。
シーンごとに、エルマーになった気分で冒険できる展示

「エルマーのぼうけん」1948年より
会場に一歩足を踏み入れると、その瞬間からどうぶつ島に捕らわれたりゅうの子を助けに行く最初の作品「エルマーのぼうけん」がスタート。桟橋を渡り、動物たちの鳴き声が響くどうぶつの島へと向かいます。 今回の展示会では、自分が主人公のエルマーになったかのような気分が味わえる4つのシーンを中心とした展示にも注目。光や映像、音響、立体造作による演出が次々と展開されていきます。 体験型コーナーでは、映画やテレビドラマの音響効果制作の専門家である、染谷和孝さんを迎え、動物の鳴き声や空を飛ぶ羽の音、りゅうたちの大さわぎの様子を音響機器・映像機器メーカー「Audio-Technica」の協力で会場内に導入した「音を感じる展覧会」になっています。 そんなワクワクするような体験をしながら、子どもだけでなく大人もグイグイと物語の世界へと引き込まれていきます。
「エルマーのぼうけん」

「エルマーのぼうけん」1948年より
桟橋を渡り終えると、物語にも描かれている、エルマーがワニの背中をジャンプして川を渡るシーンも登場。実際にワニの背中を歩いて渡ることができます。また展示物の下にあるキャプションをよく見てみると、そのシーンに出てくる道具もついて見せ方もとてもユニーク。ぜひ、そんな細かい部分にも注目してみてくださいね。
「エルマーとりゅう」

「エルマーとりゅう」1980年より
続いてのエリアは、2作目の「エルマーとりゅう」。どうぶつ島からりゅうの子を救い出し、エルマーが空飛ぶりゅうの背中に乗って家に帰る途中で嵐に遭遇。小さな島に降りたつというストーリー。会場には、エルマーとりゅうが食べたと思われる、みかんの皮もフロアに置かれていました。

迫力のある嵐が、刻一刻と変化する様子にも注目。
嵐に遭遇したエルマーとりゅうが空を飛ぶシーンでは、迫力のある雨や風、雷の音や光が演出されたトンネルを通ることで物語を体験。刻一刻と変化する嵐の中を進んでいくことで、さらに作品の世界への没入感が深まります。

「エルマーとりゅう」1980年より
エルマーとりゅうの足跡をたどりながらトンネルを抜けると、ずらりと並んだ原画が。息を飲むような繊細な筆遣いに、細かいところまでじっくり見入ってしまいます。
「エルマーと16ぴきのりゅう」

『エルマーと16ぴきのりゅう』見返しのための着彩画 ルース・C・ガネット
そして展示のクライマックスとなる「エルマーと16ぴきのりゅう」では、エルマーと別れたりゅうの子が、15匹の自分の家族が人間に捕らわれ、ほら穴に閉じ込められていることを知るところから物語がスタート。りゅうの子はエルマーに助けを求め、ユニークな計画を立てて家族を救い出すというストーリーになっています。

視覚や音からも楽しめる、ユニークな展示
会場では「そらいろのこうげん」に向けて空を飛ぶシーンも体験できます。建物や山を上から見下ろせば、エルマーたちと一緒に飛んでいる気分も味わえますよ。 後半には15匹の捕らわれのりゅうを見つけ出し、脱出する場面も。りゅうたちがラッパや笛を鳴らしながら一斉に飛び立つにぎやかなクライマックスシーンも再現されています。音源にはレトロなアナログレコードが使用され、来場者はコントローラーを操作することで、りゅうのパネルにスポットライトが当たり、音が流れるいう仕組みになっています。実際にどんな動きをするのかは会場でのお楽しみ。 物語の終わりには「親友のりゅうの子ボリスとのお別れ」のシーンも展示されています。この1枚は冒険の終わりと大切な友情の終焉を感じさせるもので、どこか寂しさを心に響かせます。会場を訪れた際には、そちらの展示も要チェックです!
展覧会の隅々まで、見逃せない要素がもりだくさん。

作者の人物像を読み解く展示と、エルマーシリーズの豊富な資料
「エルマーのぼうけん」展は3つの物語が楽しめる盛りだくさんな内容になっていますが、展示会には他にも見逃せない楽しい要素がたくさん詰まっています。 作者であるルース・スタイルス・ガーネットさんが幼い頃にお話し絵を描いたノートや、自作の小さなオブジェ、フェルトでできたりゅうのぬいぐるみ、エルマーのぼうけんシリーズが生み出されるまでのプロセスを見ることができる資料、写真なども展示。

さまざまなジャンルで活躍する著名人が選書した本を紹介「ぼうけん図書館」
また、会場内には「ぼうけん図書館」が開館。絵本作家やデザイナー、冒険家、学者、写真家、編集者、スポーツ選手などさまざまなジャンルで活躍する著名人100人が選書した、冒険の面白さを伝えてくれる「ぼうけんの書」を紹介しています。冒険心をくすぐるような本が多数置かれているので、休日の読書の参考にしてみてはいかがでしょうか。
ぬいぐるみやキャンディーなど、オリジナルグッズも満載!


「りゅうのぬいぐるみ」3,470円(税込)、「エルマーぼうつきキャンディー」400円(税込)、「りゅうのみかんピール」650円(税込)
併設のPLAY!SHOPには、展示会限定のエルマー・グッズもずらりと並びます。りゅうのぬいぐるみやステーショナリー、雑貨、キャンディーなど物語に登場するアイテムも勢ぞろい。また、PLAY! CAFEでは冒険気分を味わえるかわいらしいオリジナル・フードやデザートやドリンクも楽しめますよ。 「エルマーのぼうけん」展は、大人から子どもまで冒険心を刺激する追体験が盛りだくさん。ぜひこの機会にエルマーの世界観を味わってみてはいかがでしょうか。

「エルマーと16ぴきのりゅう」表紙のための着彩画
「エルマーのぼうけん」展
エルマーノボウケンテン
東京都 立川市緑町 3-1 GREEN SPRINGS W3棟 2階 PLAY! MUSEUM
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モリサワ ジュンコ
Writer
物撮り写真家 モリサワ ジュンコ

魅力あふれるモノゴトをインスピレーションとともにお伝えします。デザインやアート、建築が好き
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