10/17-1/21|「ゴッホと静物画―伝統から革新へ」をレポート!SOMPO美術館にて開催中
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10/17-1/21|「ゴッホと静物画―伝統から革新へ」をレポート!SOMPO美術館にて開催中

東京・西新宿にあるSOMPO美術館では10月17日(土)より「ゴッホと静物画―伝統から革新へ」がスタート。今回はその気になる展示会の様子をレポートします。

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25点のゴッホ作品を中心に名だたる画家の”静物画”にスポットを当てた展覧会

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フィンセント・ファン・ゴッホ(1853-1890)は、19世紀末に芸術の新しい可能性を開拓し、革新的な表現を追求した画家。本展では、ゴッホが先人たちから学び、どのように自身の作品に反映させ独自のスタイルを築いていったのか……さらには次世代の画家たちへどのような影響を与えたのかを年代順に紹介しています。 「ひまわり」や「アイリス」をはじめとした国内外25か所からゴッホの静物画を中心に、クラースやドラクロワ、マネ、モネ、ピサロ、ルノワール、ゴーギャン、セザンヌ、ヴラマンク、シャガールなど名だたる画家たちの静物画も勢ぞろい。全69点のうち、25点がゴッホによる油彩画という見ごたえのある展覧会になっています。

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ゴッホを知るには静物画がかかせない!?

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最初の章では、ネーデルランドやフランドル(現在のオランダとベルギー)で17世紀から19世紀まで発展していった静物画の背後にあるメッセージに焦点を当て、さまざまな画家の静物画とゴッホの初期の静物画を同時に鑑賞することができます。

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ピーテル・クラース ≪ヴァニタス≫ 1630年頃 クレラー=ミューラー美術館、オッテルロー © 2023 Collection Kröller-Müller Museum, Otterlo, the Netherlands

身の回りの物が描かれた静物画の中には、「砂時計」や「火が消えたロウソク」「頭蓋骨」など、人生のはかなさや死を連想させるような「メメント・モリ(死を忘れるな)」を象徴とした作品も。

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フィンセント・ファン・ゴッホ ≪髑髏(どくろ)≫ 1887年5月 ファン・ゴッホ美術館、アムステルダム(フィンセント・ファン・ゴッホ財団) Van Gogh Museum, Amsterdam (Vincent van Gogh Foundation)

ゴッホも現時点で確認されている限りでは、髑髏(どくろ)や骸骨(がいこつ)といったモチーフを用いた作品を3点制作。その中の1点がこちらの「髑髏」。 この時期のゴッホは、油彩の技術を磨くために静物画を習作として制作に取り組んでいました。彼の初期の静物画は暗い色調。瓶や壺、果物、野菜、靴、鳥の巣などをモチーフにした作品が多数あります。

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フィンセント・ファン・ゴッホ ≪麦わら麦わら帽のある静物≫ 1881年 クレラー=ミュラー美術館、オッテルロー  © 2023 Collection Kröller-Müller Museum, Otterlo, the Netherlands

「麦わら帽のある静物」は、ゴッホが油彩画に取り組み始めた初期の静物画で、キャンヴァスではなく紙に書かれています。ゴッホの初期の静物画には、人物を描く画家を目指してさまざまな研究を繰り返していた様子がわかります。光と影の表現方法や光沢など、ひと作品ごとに明らかな変化を感じることができます。

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ゴッホの「ひまわり」や「アイリス」も!花がモチーフの静物画が勢ぞろい

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17世紀の静物画の黄金時代に最も好まれた主題の1つは「花」。中には花を専門に描く画家もいたほど。しかし19世紀のフランス美術界では「歴史画」や「人物画」が高い評価を受け、静物画はヒエラルキーの位置づけが低くなっていました。それにもかかわらず、花の静物画の需要は高かったため、多くの画家が花の静物画に取り組んでいたのだそう。ゴッホも、モデル代の不足という経済的な理由に加え、色彩の研究をするために花の静物画に勢力的に取り組んだといわれています。 第2章では、モネやモンティセリなどの花の静物画を中心紹介。ゴッホの作品と共に展示されています。

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フィンセント・ファン・ゴッホ《赤と白の花をいけた花瓶》1886年 ボイマンス・ファン・ブーニンヘン美術館、ロッテルダム Museum Boijmans Van Beuningen, Rotterdam

こちらはパリ滞在の1年目にあたる1886年に描かれた「赤と白の花をいけた花瓶」。印象派というよりも、厚塗りの絵具と濃厚な色彩が特徴のアドルフ・モンティセリなどの影響を強く感じます。ゴッホが影響を受けた作品は、同じエリアにあるのでひとつひとつ楽しみながら、実際に会場で見比べてみてくださいね。

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また、こちらのエリアで特に注目したいのは、ゴッホとその同時代の画家たちによる「ひまわり」に焦点を当てたコーナー。ひまわりは、ゴッホの作品の中でも最も象徴的なモチーフ。会場では、ゴッホや他の画家たちがなぜこの主題に魅了され、どのように描いたのかを魅力的なストーリーとともに探求することができます。 大半が撮影可能な中、リヒャルト・ロラン・ホルスト(1868-1938)「ファン・ゴッホ展」図録など一部貴重な資料は撮影不可のものもあります。会場ではそちらも間近でみることができるので、忘れずにチェックしてみてくださいね。

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(左)フィンセント・ファン・ゴッホ 《アイリス》 1890年 ファン・ゴッホ美術館、アムステルダム(フィンセント・ファン・ゴッホ財団) Van Gogh Museum, Amsterdam(Vincent van Gogh Foundation)

そして、ファン・ゴッホ美術館の「アイリス」とSOMPO美術館の「ひまわり」を並べて同時に鑑賞できる点も見逃せません。右下へ垂れた花は、伝統的な花の静物画にもよく用いられる画法ですが、こちらの2つの作品の構図も共通。青と黄色の対照的な花の色合いは、会場でもひと際目を惹きます。

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ゴッホの作品とともに、ゴッホが影響を与えた画家たちの作品を紹介

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19世紀になると「絵画における事や物の再現」という考え方は、印象派でピークを迎え、今までのような見たままを表現することに疑問を抱いた画家たちは、色や形といった要素を用いて自己表現を探求し始めます。

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第3章では、ゴッホやゴーギャン、セザンヌなど「ポスト印象派」として知られる画家たちの新しく自由な静物画のスタイルを紹介。ゴッホの作品とともにゴッホが深く影響を与えた画家の作品を幅広く展示しています。

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フィンセント・ファン・ゴッホ ≪ヴィーナスのトルソ≫ 1886年6月 ファン・ゴッホ美術館、アムステルダム(フィンセント・ファン・ゴッホ財団) Van Gogh Museum, Amsterdam(Vincent van Gogh Foundation)

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フィンセント・ファン・ゴッホ ≪皿とタマネギのある静物≫ 1889年1月上旬 クレラー=ミューラー美術館、オッテルロー  © 2023 Collection Kröller-Müller Museum, Otterlo, the Netherlands

ゴッホ自身も、静物画の制作を通じて重厚な色彩は次第に鮮やかに。多様なスタイルに進化していく過程が見られます。 フィンセント・ファン・ゴッホの静物画を中心に、ヨーロッパの絵画史に残る「伝統」から「革新」へと変化していく静物画を通して、観る側が次第に没入していくユニークな展覧会。会期も来年1月21日(日)までと長めなので、ぜひ会場に足を運んでみてくださいね。

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ゴッホと静物画―伝統から革新へ

ゴッホトセイブツガ―デントウカラカクシンヘ

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東京都 新宿区西新宿1-26-1 SOMPO美術館

pin-icon2023-10-17 2024-01-21
clock-icon10:00~18:00(ただし11月17日(金)と12月8日(金)は20:00まで) ※最終入場は閉館30分前まで
pin-icon月曜日(ただし1月8日は開館)、年末年始(12月28日~1月3日)
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https://gogh2023.exhn.jp/
観覧料:一般 2000円(1800円) / 大学生 1300円(1100円) ※()内は日時指定料金

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物撮り写真家 モリサワ ジュンコ

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