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2024.03.06
伝統の京からかみの技を受け継ぐ「唐丸」で、唐紙摺り体験&工房見学
風合いの良い和紙に移した繊細な文様が、光を受けてほのかにきらめく――「京からかみ」は、千年の時を超えて受け継がれてきた伝統工芸です。京都の碁盤の目のほぼ中央に構える「唐丸(からまる)」は、職人が日々制作に勤しむ唐紙工房に、体験工房とショップを併設した京からかみの専門店。職人と同じ版木や絵具と工程で摺り上げる本格的な唐紙摺りの体験や工房見学ができますよ。
京からかみのはじまりは平安時代
現代では壁紙や襖紙のほか、インテリアを彩るアートとしても人気
唐紙は、その名が示すように古代中国から伝わった美術紙で、国内でも生産されるようになったのは平安時代のこと。平安時代の初期、公家や貴族が和歌や文を綴るための料紙として作られるようになったのが、「京からかみ」の歴史のはじまりです。やがて、寺院や茶室の壁紙や襖紙などとして重宝されるようになり、町衆にも普及。文様のバリエーションが広がっていきました。
四条烏丸から南東方面へ徒歩10分ほど、高辻通り沿いにある
そんな唐紙の歴史を受け継いできたのが、表具師にルーツをもつ、1902(明治35)年創業の「丸ニ」です。かつて、京都には十数件の唐紙屋があったといいますが、いまでは古来の唐紙の技を伝えるのはわずかとなりました。
京みやげやプレゼント選びにおすすめ
1階のショップには、壁に飾るパネルや、照明、レターセットやハガキ、ポチ袋などの和文具、版木をイメージしたスタンプなど、日々の暮らしを豊かにしてくれるさまざまなオリジナルアイテムが並んでいます。
パネルやハガキ、御朱印帳などバラエティに富む品ぞろえ
唐紙摺り体験と工房見学
職人歴十数年の工藤祐史さんが、ユーモアを交えてレクチャーしてくれる
体験プランは、「ハガキ摺り体験」、「唐紙摺り体験と工房見学」、「御朱印帳作り体験」、「パネル作り体験」の4種。レプリカのミニチュア版木を使う「ハガキ摺り体験」以外は、120年以上受け継がれてきた版木を使用します。この日は、「唐紙摺り体験と工房見学」を体験してみました。
版木はもっとも古いもので187年前のものが残っているそう
はじめに、京からかみについてわかりやすくまとめられた7分間の動画を視聴。つづいて、職人が日々京からかみ作りに勤しむ2階の工房へ。 版木や和紙についての説明を聞きながら、20色以上の和紙のなかから好きな色を3枚選びます。版木は月替わりで、季節の風趣に合わせた2柄と定番1柄の3種、絵具は雲母(きら)と金色の2色が用意されています。「文様」「和紙」「絵具」、この3つの要素を思いのままに組み合わせ、オリジナルの京からかみを作ります。
絵具は柄の上に均一につけるのがポイント
花崗岩の結晶の粉末「雲母」に、接着剤となる「布海苔(ふのり)」をあわせた絵具を、刷毛で篩(ふるい)にのせてもらったら、篩を持って、全体が均一になるよう版木に絵具をのせていきます。 全体に色がのったらUの字型に丸めた和紙を版木の中心に置いて両端に向かって広げ、手のひらでやさしくなでます。それから、紙を半分めくって絵具をのせて摺ることを左右それぞれにします。手のひらで和紙をなでていると、和紙ならではのしっとりとしたぬくもりが指先に伝わってきます。
絵具をやさしく、ふんわりのせると、ベタっとならずやわらかな質感に仕上がるのだそう
一枚目の版木は「枝桜」。濃いピンクと金色を合わせて華やかに
絵具が均一になじんだら、角を押さえながら対角線上にそっとはがしていきます。 ドキドキする瞬間を乗り越え、一枚目が無事に刷り上がりました。ちょっと絵具をのせすぎたかも?ですが、つづいて、二枚目にチャレンジ。
二枚目の版木は「天神唐草」。萌黄色と白で淡い色合いに
ふんわりと文様が浮き上がっているように見えるのが味わい
「昔のモノを使って、現代のモノを創るというのが魅力ですね」と工藤さん
刷り上がった唐紙を乾かしている間、職人による実演を間近で見学。 襖や壁に合ったビッグサイズの版木があるのではなく、上下左右に連続するよう文様が彫られた版木を使い、文様を合わせながら摺ることで、大きな唐紙を作っていくのだそうです。
正倉院文様があしらわれた版木
取材時に作ったのは2枚。実際は3枚の京からかみを作ることができる
出来上がった唐紙は、額に入れて飾ったり、封筒やブックカバーなどを作ってみたり。オプション料金でインテリアパネルやミニ屏風に仕立ててもらうこともできます。 好きな色の和紙を選んだり、版木、絵具、和紙の組み合わせをあれこれ思い描いたり、和紙ならではの風合いを味わったり……約60分間、心弾む時間となりました。 見て、ふれて、自身の手で制作して、奥深い京からかみの魅力を体感してみませんか。
出来上がった京からかみは、専用の箱に入れて持ち帰ることができる
<唐紙摺り体験と工房見学>
【開催日時】祝日を除く毎週火・金曜、土曜(不定期)の10:30~
【所要時間】約60分
【料金】1名6000円
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佐藤理菜子 撮影:マツダナオキ
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