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2025.07.03
名古屋「徳川園」で、尾張徳川家の優美な文化と四季折々の自然に親しむ
徳川御三家の中でも筆頭格だった尾張徳川家。その豪華絢爛な世界を感じられるスポットが、名古屋市内のあちこちに残っています。名古屋市東区にある「徳川園」は、そのひとつ。尾張徳川家の邸宅跡を利用した日本庭園で、広大さや変化に富んだ景観に圧倒されます。季節の花や紅葉など、四季折々の自然も豊か。散策後に立ち寄りたいカフェやショップもありますよ。園内を散策して、優雅な気分に浸ってみませんか。
尾張藩藩主の隠居所を起源とする、由緒ある庭園

徳川園の西側に建つ黒門は、国の登録有形文化財。1945年の大空襲による焼失を免れた貴重な遺構
「徳川園」があるのは、名古屋城から東へ約3km。静かな住宅街の中に位置しています。隣には、尾張徳川家に伝わる貴重な名品を所蔵・公開する徳川美術館があり、徳川園と並ぶ人気スポット。散策や見学に訪れる人が絶えません。名古屋駅からJRでアクセスするなら、大曽根駅で降りて徒歩約10分。名古屋駅や栄からバスを利用するなら、徳川園から徒歩3分の場所にバス停「徳川園新出来」がありますよ。

黒門口を入ってすぐの場所にかかる虎仙橋を渡って。橋の両側にはもみじが茂り、秋は紅葉で真っ赤に
徳川園の起源は、尾張藩二代藩主の光友が隠居所として移り住んだ大曽根屋敷。光友自身が造営し、当時の敷地は約13万坪(約44ha)もの広大さだったと伝えられています。光友の没後は、尾張藩の家老職の家に譲られ、明治には尾張徳川家の邸宅に。その後、名古屋市に寄付され、戦災による焼失などを経て、2004年に日本庭園としてリニューアルされました。
海に見立てた大きな池を中心とした日本庭園

6~7月頃は、スイレンの花が美しい龍仙湖
現在も約7000坪(約2.3ha)の広さを誇る徳川園。その様式は、大きな池の周囲に園路をめぐらせた池泉回遊式です。清流が滝から渓谷を下って、海に見立てた池へと流れ込む自然景観の表現には、高低差のある地形がうまく生かされています。 敷地の大半を占める「龍仙湖」は、湖という名称がふさわしく感じる広々とした水辺。周りをぐるりと一周すると、変化に富んださまざまな景観が楽しめます。

左が頭、右が尾のように見える亀島(左上)。湖面に映える色鮮やかな鯉や飛石、野趣あふれる巨石など、場所によって雰囲気が異なる
木々に囲まれ、水音に安らぐ場所も

落差が6mで三段になっている大曽根の瀧
龍仙湖を臨む開けた場所だけでなく、大きな木々が茂り、涼し気な木陰を作るエリアも。龍仙湖から少し傾斜を上って園内の東にある「大曽根の瀧」を目指すと、徐々に近づく瀧の水音や木々の緑に心が静まります。自然に囲まれて、名古屋市内にいることを忘れてしまうようなひととき。瀧の近くで瞑想する人がいるというエピソードにも納得する、心地よさです。

大曽根の瀧から流れ出た水は、「虎の尾」と名付けられた渓流を通って龍仙湖へ。虎の尾に沿って続く道は木陰が涼しくて、夏の散策に最適
四季折々に見どころが変わる、自然豊かな環境

さまざまな花や木々が、代わる代わる園内を彩る。散策しながら、撮影するのも楽しみ
自然豊かな徳川園では、季節ごとの花を愛でて季節感を味わうのも楽しみです。春には梅やハナモモ、夏には花菖蒲やスイレンなど、多種多様な草花が園内を彩ります。秋には色とりどりの紅葉が園内を彩り、冬にはわら囲いされた冬牡丹が風情豊か。徳川園の公式サイトには、四季の花ごよみも掲載されているので、季節ごとにどんな花が見られるか参考にしてみてくださいね。
8月に行われる夜間開園のイベント「夜に憩う 徳川園夕涼み」。龍仙湖に浮かぶ灯籠が幻想的
その時期ならではの催しも多彩で、例えば秋には10月に観月会、11月から12月には紅葉祭などが予定されています。8月には夜間開園のイベント、紅葉祭でもライトアップがあるので、いつもと違う夜の雰囲気も楽しみです。 広い園内の見どころを余すところなく見学したい人には、庭園ガイドの予約がおすすめ。金・土・日曜、祝日なら、無料でガイドをしてもらえますよ。ただし、高温が予想される7月1日~8月31日は休止されるので、涼しい時期になってからにしましょう。
散策後は登録有形文化財の「蘇山荘」でひと休み

この中にカフェが?と驚くほど、落ち着いたたたずまい
園内を散策した後は、南側の出入口、黒門口のすぐそばにあるカフェ「蘇山荘」でひと休みしませんか。蘇山荘は、1937(昭和12)年に名古屋市で開かれた名古屋汎太平洋平和博覧会の迎賓館を移築した歴史的な建造物で、国の登録有形文化財に指定されています。和モダンな雰囲気の店内から、中庭の新緑や紅葉、梅や椿など季節ごとの風景を眺めながら、ゆったりとくつろげるお店です。

窓から臨む庭園の眺めにもほっとする空間。店内はテーブル席のみで、靴のままで入店する
香り豊かな日本茶を味わって

あたたかい日本茶とお菓子のセット。わ紅茶や煎茶、玉露など4種類から選べて、月替わりのお菓子付き(1100円~)
メニューはドリンク類と甘味、軽食としてきしめんとハヤシライスがラインナップ。ドリンクでは、愛知県岡崎市「宮ザキ園」の茶葉を使用し、自分で淹れて味わうあたたかい日本茶や、ワイングラスでいただく冷たい日本茶がおすすめです。香り豊かなお茶やデザートを、趣のある空間で。ゆっくりと味わいたい、ぜいたくなひとときを満喫してくださいね。

葵の御紋の最中や宇治抹茶アイス、4種のフルーツなど11種もの食材を盛り合わせた、クリームあんみつ(1200円)。黒蜜をかけて召し上がれ
蘇山荘
ソザンソウ
オリジナルアイテムや地元の名品も並ぶ「徳川園ショップ葵」

外光が入り、明るくゆったりと感じられる店内
徳川園のおみやげは、黒門口の隣にある「徳川園ショップ葵」で。徳川家や徳川園にちなんだグッズをはじめ、地元の老舗和菓子店が手がけたオリジナルのお菓子など、おみやげにしたいアイテムがずらり。有松絞りや名古屋扇子、瀬戸焼など地元の名品も扱っているので、名古屋みやげとしても魅力的です。多彩な品揃えなので、じっくりチェックしてみてくださいね。

徳川園限定の金平糖缶(702円)。缶の色は赤、黒、銀の3色があるので、好みの色や柄を選んで

国産にこだわるジャムブランド「Jam the」。徳川家康が愛したと伝わる紀州みかんを使ったジャムなど3種類をセットにした「Jam the Tokugawa3種セット~武将が愛した果実」(1620円)は、徳川園ショップ葵のみで販売
徳川園ショップ葵
トクガワエンショップアオイ
徳川美術館とあわせて見学するのもおすすめ

やや傾斜のある敷地には石段などもあって、ほどよい運動にもなりそう
広々とした庭園を散策して、カフェやショップなどにも立ち寄りながら、のんびりと過ごせる徳川園。お隣にある徳川美術館の見学とあわせて訪れるのもいいですね。名古屋駅と市内の観光スポットを結ぶ観光ルートバス「メーグル」でもアクセスできますよ。近郊からのプチトリップや名古屋旅の立ち寄り先として、気軽に立ち寄ってみてはいかがでしょう。
徳川園
トクガワエン
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文:豊野 貴子 写真:北川 友美
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