岡崎市で人気のうどん店「釜春」が手がけるカフェ

風格が漂う外観。店の前は釜春と共用の駐車場になっている

「MATSUBA COFFEE」があるのは、岡崎城がある岡崎公園から歩いて7分ほどの場所。岡崎市でおなじみの老舗うどん店「大正庵釜春本店」のすぐ隣です。以前からこの場所にあり、売却されることになった古民家を釜春が買い取り、2024年にカフェとしてオープン。この辺りの旧町名が松葉町だったことから、その名を残そうと「MATSUBA COFFEE」と名付けました。

松葉をデザインしたロゴがあしらわれた、のれんをくぐって店内へ

店内へ入ったら、まずはカウンターで注文するスタイル。ケーキはショーケースから好みの品を取り出してくださいね。できあがったら運んできてくれるので、お会計を済ませたら靴を脱いで室内へあがって、席を選びましょう。

趣の異なる空間と細部を彩るデザインに魅せられる

廊下のベンチシートは中庭を眺める特等席。時間を忘れて見入ってしまいそう

明治時代に建てられ100年以上が経過した建物は、思った以上に傷みが激しかったそう。修復するには資材を探すことも難しく、時間も費用も掛かると思われたため、「建物は壊してしまっては？」という声もあったとか。しかし、大正庵釜春の社長、太田宜孝さんは“歴史的な価値がある建物を残して、その良さをたくさんの人に味わってほしい”と考え、5年間かけて修繕を行いました。

手入れが行き届いて、緑がさわやかな中庭。大きな灯籠や石が配され、貴重な古木も残っている

窓との間に廊下があるので、明るすぎず落ち着く和室

市内で事業を営む裕福な人が所有していたという立派な建物。大きな母屋と中庭、廊下の先には洋室も設けられています。元の建物をできるだけ生かして、使えない部分だけ直したという店内は、古民家らしい落ち着きがありつつも快適で、整然とした美しさを備えています。 二間続きの和室や庭を臨むベンチシート、白い壁で明るい洋室と趣の異なる空間があり、どこもそれぞれに魅力的。室内のあちこちに古民家ならではの味わいがあり、それになじむインテリアも取り入れられています。

大きな窓から臨む中庭や、日差しが心地よい洋室。イギリスのアンティーク家具がレトロな空間に似合う

洋室の入口にはかわいいステンドグラス（左上）。洋室の天井にある上品な装飾（右上）。庭の水辺には鳥が訪れることも（左下）。欄間を活用したベンチシートの背板もおしゃれ（右下）

香り豊かなコーヒーと味わい深い老舗のケーキ

エスプレッソのコクと香りがしっかり感じられる、アイスカフェラテ（650円）。カラフルなフルーツを閉じ込めたビジュアルがなつかしいババロア（638円）。やさしい味わいにもほっとする

こちらで用意されているメニューはドリンクとスイーツ。ドリンクでは、コーヒー好きの太田さんが吟味して選んだイタリアのエスプレッソマシン“La Marzocco（ラ・マルゾッコ）”で淹れるエスプレッソやラテがおすすめ。ドリップコーヒーやソフトドリンクもありますよ。ケーキは岡崎で90年以上愛される洋菓子店ガトータツミヤのものが4～6種類ほど。季節ごとにラインアップが変わります。

松葉をイメージした特注カラーのエスプレッソマシン

2層仕立てのコーヒーゼリー（480円）

お店で手づくりのスイーツもあります。自慢のエスプレッソを生かしたコーヒーゼリーは、ほんのり甘いカフェラテプリンと、無糖のコーヒーゼリーの2層仕立て。たっぷりの生クリームと一緒に、食感の違いも楽しめます。オリジナルのスイーツはほかに、数量限定の冷やしぜんざいも。岡崎市内のお店から届く和菓子や焼菓子もあるので、ドリンクや気分に合わせて選んでみてくださいね。

コーヒーはオリジナルのカップでテイクアウト

夜には別の空間を使ったおでん屋さんも

入口近くの席は靴のままでOK。テイクアウトの商品を待つ間や、短時間でも手軽に利用できそう

和洋の趣ある空間にほっとするMATSUBA COFFEE。風味豊かなおいしいコーヒーを求めている人にもおすすめです。釜春を利用した当日のレシートを提示するとワンドリンク100円引きになるので、食後に場所を替えてくつろぎたいときにも便利ですよ。同じ建物の別の空間を利用して、金～月曜の夜にはおでん屋さん「まつば」も営業しているそうなので、気になる人はチェックしてみてくださいね。