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2014.08.05
京都の夏の風物詩「六道まいり」と、日本最大規模の陶器市「五条坂陶器まつり」へ
六道珍皇寺の「六道まいり」には、お盆に里帰りする先祖の霊を迎えに大勢の人びとが訪れます。また「五条坂陶器まつり」には全国から陶器と人が集まり、毎年大盛況です。(メイン写真/六道珍皇寺)
ご先祖を大事に思う夏の伝統行事のひとつ「六道まいり」

お寺の方にご先祖の戒名を水塔婆に書いていただきます
京都では先祖の霊を“お精霊さん(おしょらいさん)”と呼び、六道珍皇寺(ろくどうちんのうじ)では毎年8月7日~10日、お精霊さんをあの世からこの世へと迎える「六道まいり」が行われます。平安時代、このお寺のあるあたりは葬送の地「鳥辺野(とりべの)」へ向かう入口付近とされ、あの世とこの世の分かれ道「六道の辻(ろくどうのつじ)」と呼ばれていました。ご先祖はお盆になると「六道の辻」からこの世に帰ってくると信じられ、いつしかお精霊さんを迎えに六道珍皇寺へとお参りする風習が始まったとか。 お精霊さんを迎える人びとは、まず参道で高野槇(こうやまき)を買い求め、ご先祖の戒名(かいみょう:亡き人につける名前)を書いた水塔婆(みずとうば:薄く細長い板)を手に持ち「迎え鐘」を撞いてお精霊さんをこの世へいざない、水に浸した高野槇の葉で水塔婆を潤し納めます。こうして高野槇に宿ったお精霊さんは各家へと里帰りしていくのです。

参道では、お精霊さんを迎えるための高野槇が売られます



あの世とこの世の分かれ目「六道の辻」
あの世のご先祖の元まで届くという「迎え鐘」の音色

手前の綱を“引いて”鐘を撞きます
「迎え鐘」は鐘楼の建物の中にあり、お精霊さんを“迎える”という意味から、正面に出ている綱を“引いて”鐘を撞きます。ゴォ~ンという音は十万億土のあの世にまで響き渡るとされ、ご先祖は「迎え鐘」の音に導かれこの世に戻ってくるのだとか。 はるか平安の昔に始まった風習は千年の時を超え、今もお盆の伝統行事として脈々と受け継がれています。 〇六道珍皇寺(ろくどうちんのうじ) [所] 京都市東山区大和大路通四条下ル4丁目小松町595 [TEL] 075-561-4129 [料金] 境内無料 ◆ 六道まいり 8月7日~10日 (期間中、本堂内は拝観できません)
年に一度の大陶器市「五条坂陶器まつり」

歩道に沿って陶器販売のテントが続きます
六道珍皇寺にほど近い五条通の五条大橋東詰から東大路通にかけて、「六道まいり」と同じ期間に「五条坂陶器まつり」が大々的に開催されます。 1920(大正9)年、六道珍皇寺などへの参詣者で賑わった五条坂に、一級品としては売れない品物を陶器市として売り出したのが陶器まつりの始まりだとか。陶器市が行われるあたりは清水焼発祥の地で、今も陶芸作家や窯元、卸売や小売店などが軒を連ねています。
約400もの出店が数多の陶器をご用意

あれもこれもほしくなりそう。お気に入りを見つけて
五条通をはさんで北側と南側の歩道には陶器を販売するお店のテントが延々と続き、その数なんと約400。あふれるほどに並べられた陶器の数々に圧倒されるものの、その中から自分の好みのものを見つけ出す楽しさに陶器好きならずともこころ浮き立ちます。 今では清水焼はもとより信楽や瀬戸、有田など全国各地の陶器がお目見え、五条通の南側では若手陶芸作家のお店もたくさん並ぶようになり、ますます魅力的な陶器市になってきています。掘り出し物やお気に入りの一品を探しに、この夏は五条坂を歩いてみませんか? 〇五条坂 陶器まつり [時] 8月7日~10日 9:00~22:00ごろ [所] 五条坂一帯 [TEL] 075-541-1192(テープ対応)

五条坂にある若宮神社は通称「陶器神社」と呼ばれています
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田中 昭美
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