147
2016.08.30
予約2ヶ月待ちの人気。かわいい和菓子教室を主宰するユニット「ユイミコ」さんにインタビュー
小坂歩美さんと大森慶子さんのふたりからなる和菓子ユニット「ユイミコ」。 自由が丘や世田谷、青山などで和菓子教室を開催していて、昨年は初のレシピ本を出版。彼女たちが主宰する和菓子教室は2ヶ月先まで予約がいっぱいという人気ぶりです。 そんな今話題の和菓子ユニットに、結成の経緯や和菓子への思いを聞きました。
製菓学校で出会ったふたりが「ユイミコ」を始めるまで
和菓子職人を目指したきっかけを教えてください。
小坂さん:大学を卒業後、会社勤めをしていたのですが、漠然と日々を送る中で「もっと自分の好きなことがしたい」と思うようになりました。大好きな和菓子作りを通して、日本の文化を伝えていけたら素敵だなって。 大森さん:私はもともと建築デザインを学んでいたのですが、学校を卒業して就職活動をするうちに、デザインだけでなく「自分で手を動かしてものを作りたい」という思いが強くなっていったんです。そんな時に思い浮かんだのが、昔から好きだった和菓子でした。
<p style="font-weight:bold; color: #ffa133; font-size: 100%;">そんなおふたりが、同じタイミングで製菓学校に入学したのですね。</p>
小坂さん:仕事をしながら製菓学校に2年間通いました。いざ和菓子の世界に飛び込んでみると、わからないことだらけ。作り方の基礎を一から学びました。卒業後は、それぞれ別の和菓子屋さんで働いていたのですが、3年ほど経った頃、お互い次のステップに悩んでいた時期があって…。 大森さん:そんな時、小坂さんに「ふたりでなんかやろう!」と思い切って声をかけたんです。はじめは和菓子屋を開くのか、教室をやるのか、なにも決まってなかったんですけどね(笑)。ふたりでならきっとなにかできるはずって思って一歩踏み出しました。
北鎌倉の古民家でゆる〜く始めた和菓子教室
「ユイミコ」結成当初はどんな活動をされていたのですか?
大森さん:ふたりでひたすら和菓子を作っては手作り市で販売したり、作品をブログにアップすることから始めました。そうやってゆる〜く活動しているうちに、知人から「オープンスペースで和菓子教室をやってみない?」とお誘いがあったんです。北鎌倉に土日だけ開放している古民家があって、そこで和菓子を教え始めたのが最初です。 小坂さん:当初は講師2人に対して生徒さん1人だけだったりとか…。全く人が集まらないこともありました。それでも、SNSで呼びかけたりしているうちに、だんだん人が増えてきて、口コミで広がり、次第に各地で開催するようになっていきました。
風景をそのまま切り取ったような「蛍」と「濡れつばめ」
過去に作った和菓子でお気に入りの作品は?
小坂さん:私は練り切りの「蛍」が好きです。夕闇の中、ホタルがぼんやりと光っている景色をそのまま切り取ったようなお菓子です。「ほおずき」のほうは練り切りではなく、モチモチとしたういろうで作っています。この2つの和菓子の組み合わせがお気に入りですね。
大森さん:私は春の季語でもある「濡れつばめ」が好きです。和菓子は、季語からイメージして情景を描くことも多いんですよ。練り切りの上に羊羹で型どったつばめと、錦玉羹でできた雫型の水滴を置いています。
季節の移り変わりを繊細に表現する和菓子文化
ユイミコさんが思う和菓子の魅力とは?
小坂さん:和菓子の魅力は、季節を切り取って小さな世界に閉じ込められるところ。季節を感じるストーリーがきちんと込められているから、お客さんにお出しする時にも、和菓子一つで会話が弾みますよね。 大森さん:季節の移り変わりを表したり、その繊細な変化を表現できるのは、四季のある日本だからこそ。それを「食」で表現したのが和菓子なんです。
気軽に体験出来るユイミコの和菓子教室
和菓子教室ではどんなことをするのですか?
大森さん:教室では、特別難しい技術は必要なくて、家庭でも取り入れやすい基本的な和菓子作りを教えています。普通の料理教室だと、グループで作業することも多いと思いますが、和菓子教室は基本的に個人作業。手のひらで細かな作業をする「練り切り」なんかは、完全に個人プレーですよね。作ることに没入できるから楽しいし、作品はひとりひとり個性が出てすごくおもしろいんですよ。 小坂さん:お店みたいに全部同じ形に作る必要はないですからね。好きな色で好きな形を、自分が感じたように作ってみてほしいです。
和菓子を自宅で手作りする人は、まだまだ少ない気がします。
大森さん:ケーキやクッキーなどの洋菓子を自宅で作る人は多いのに、和菓子はその選択肢に入れてもらえてないのが現状ですよね。そもそも身近なスーパーには和菓子作りの道具なんて売ってないですし。でも「今日のおやつは手作りの錦玉羹よ〜」なんて素敵じゃないですか(笑)。 小坂さん:和菓子作りって難しそうなイメージがあるかもしれませんが、全然そんなことないんですよ。びっくりするくらい見た目にも美しいおやつが自宅で簡単に作れちゃうんです。普段のおやつにも、もっと和菓子を取り入れてもらえたら嬉しいです。
肩の力を抜いて、ゆるく気ままに「好きなこと」を追求してきたユイミコのおふたり。その人柄に惹かれるようにして、多くの人がユイミコの和菓子教室へとやってくるのです。 後半は、初心者でもできる、夏の水菓子の作り方を教えてもらいます。
「ユイミコ」さんの書籍が発売中!
『道具なしで始められる かわいい和菓子』(1296円/講談社)
月うさぎやかぼちゃまんじゅう、バラや椿など、伝統的なモチーフなのに遊び心がたっぷり詰まった和菓子レシピがたくさん。特別な道具がなくても始められる初心者に嬉しい1冊です。手みやげ用のラッピング術にもご注目を。
ユイミコ
※掲載の内容は、記事公開時点のものです。変更される場合がありますのでご利用の際は事前にご確認ください。
※画像・文章の無断転載、改変などはご遠慮ください。
宇都宮薫
の人気記事