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2015.02.05
稲荷の神が鎮座した日にご利益をいただく、伏見稲荷大社の「初午大祭」へ
全国約3万社のお稲荷さんの総本宮である、京都の「伏見稲荷大社」では、2月最初の午の日に「初午大祭(はつうまたいさい)」が行われ、ご利益を求めて多くの参拝者が訪れます。
稲荷の神は2月の「初午」の日に峰に降り立ったと伝わります

初午大祭では、実りに感謝をしてたくさんの作物が奉納されます
JR稲荷駅から東へすぐの場所にある「伏見稲荷大社」は、全国約3万社を数える稲荷社の総本宮で、稲を実らせて五穀豊穣をもたらすとされる稲荷の神を祀り、商工業が盛んになった中世以降は、商売繁盛の神としても広く信仰を集めています。 神社は、711(和銅4)年、有力豪族だった秦氏の頭領・秦伊呂具(はたのいろぐ)によって創建されました。その由緒として伝わる物語があります。 ある日、伊呂具が弓矢で遊んでいる時、手近に的になるものがなかったため、餅を的にして矢を射かけました。すると餅は3羽の白鳥に姿を変えて、かなたの山へと飛び去ってしまいます。3羽の白鳥は、それぞれ稲荷山の3つの峰に降り立つと、その地には稲がたわわに実りました。伊呂具はこの不思議な出来事を神の成した事と感じて社を建てたそうです。 その3羽の白鳥が降り立ったのは、2月最初の「午の日」であったとされることから、毎年2月の初午の日(2015年は2月11日(水))には「初午大祭」が行われて、稲荷の神の鎮座を偲び、感謝をする日とされています。
初午の日限定で授与される、商売繁盛のお守り「しるしの杉」

商売繁盛と家内安全を願う「しるしの杉」(1体1000円)
初午大祭に限って授与される縁起物が「しるしの杉」です。杉は伏見稲荷大社のご神木で、古くは平安時代から参拝の証として稲荷山の杉の小枝を授かって、身に付ける習わしがありました。 現在授与されている「しるしの杉」は御幣として飾る縁起物で、商売繁盛や家内安全のお守りとして、あるいは文字通り初午に参拝をした“しるし”として、多くの参拝者が買い求めていきます。
平安時代の女流歌人・清少納言も訪れたと言われる「お山めぐり」

「お山めぐり」は、いにしえより続く信仰の道。鳥居は山上まで連なっています
初午の日に伏見稲荷大社へ詣でることを「福詣り(ふくまいり)」と呼びます。時間のある方は山麓の社殿だけでなく、稲荷の神が最初に鎮座をした稲荷山の上へと参拝する「お山めぐり」を行ってみるのもおすすめです。古くは平安時代に清少納言が稲荷山へと登り、『枕草子』にその様子が書かれています。 清少納言は、初午の日の早朝から稲荷山を目指して登って行きますが、普段から歩き慣れていないためか、山の中腹まで到着したのは午前10時頃。清少納言は次第に暑さを感じ、やりきれない気持ちになって休んでいました。すると中年の婦人が清少納言の前を通りかかり、すれ違った知人に「私は今日7度参りをするつもりです。もう3回巡りましたからあと4回くらいは何でもありませんよ」と告げて、さっと登って行ってしまいました。清少納言はその様子を見ながら、本当にうらやましく思ったのだそう。 今でも多くの人が初午の日には稲荷山を目指して、1周およそ2時間の道のりを詣でます。稲荷山までは長い時間、階段や坂を登るので、若い人でも息が上がるほど。実際に歩いてみると清少納言の気持ちがわかるかもしれませんね。 いつにも増して縁起がいいとされる「初午大祭」。この機会に伏見稲荷大社へと訪れてみませんか。 ○ 伏見稲荷大社(ふしみいなりたいしゃ) [所]京都市伏見区深草薮之内町68 [TEL]075-641-7331 [時間]参拝自由(授与所は7:00~18:00) [拝観料]境内自由
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吉村 晋弥
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