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2023.08.10
吉祥寺のカフェやショップで、自分だけのお気に入りを見つける1日さんぽ
新宿からJR中央線快速で15分。多摩地区の東端に位置する吉祥寺は、東京でも「暮らしてみたい街」として多くの人に愛されるエリア。華やかな駅周辺を少し離れると武蔵野の歴史と自然に育まれた美しい風景が広がり、時間もどこかゆったりと流れていくかのよう。個性あふれるカフェやショップを訪ねれば、このまちの上質なカルチャーも感じられます。せかせかとした日常を少し離れて、心をうるおす小さな旅を楽しんでみませんか。
かわいいリスたちが暮らす森を訪ねて「井の頭自然文化園」へ
「八十八夜」で季節の露地野菜たっぷりのランチを味わう
美しいキッチンウェアやアンティーク家具を眺めに「CINQ」へ寄り道
土をこねて土に向き合う「陶芸教室むさしの」で器づくり
11色のクリームソーダが名物の老舗喫茶「ゆりあぺむぺる」へ

かわいいリスたちが暮らす森を訪ねて「井の頭自然文化園」へ

緑豊かな園内をのんびり歩いて
JR吉祥寺駅から徒歩10分ほど。緑豊かな井の頭恩賜公園の一角に「井の頭自然文化園」があります。こちらは1942(昭和17)年に開園した歴史ある都立動物園。井の頭恩賜公園の3分の1を占める約35000坪の敷地に、170種類を超す動物たちが飼育されています。ヤクシカやイノシシがのんびりとくつろぐ大放飼場や、カピバラやヤギなどマイペースでかわいい動物たちがいるエリアなど心癒される空間が広がっています。

放し飼いのリスたちと触れあえる「リスの小径」

夏は赤茶色の夏毛、冬は灰色がかったもふもふの冬毛になるニホンリス
お目当てにしたいのが、ニホンリスたちが自由に暮らす空間に入れる通り抜けタイプのケージ「リスの小径」。二重のドアを入ると、そこは大きな木々が茂り小川が流れるリスの森。小径を歩けば、すぐそばで枝を渡ったり、地面を走ったりする元気なリスたちを間近に観察することができます。

写真左上から時計回りに「いきもの広場」、「リスの小径アイス」380円、彫刻園
園内には長崎の平和記念像を制作した彫刻家・北村西望の作品200点あまりを展示する「彫刻園」、身近な野生の生き物を観察できる「いきもの広場」など見どころも豊富。彫刻作品はアトリエ館や彫刻館に加えて周辺の木立の中にも展示されているので、アートピクニック気分でめぐるのもよさそう。「フード&ギフトショップ こもれび」にはナッツたっぷりの「リスの小径アイス」もあって、木陰でひと休みできますよ。

井の頭自然文化園
イノカシラシゼンブンカエン

「八十八夜」で季節の露地野菜たっぷりのランチを味わう

大きな窓から自然光が入る店内
井の頭自然文化園から吉祥寺駅方向に6分ほど歩いた場所に「八十八夜」があります。こちらは、おいしくてからだにやさしい国産食材にこだわるダイニング。天然のウォールナット材をふんだんに使った明るくてナチュラルな雰囲気の店内で、季節感いっぱいのランチが味わえます。

「八十八夜旬野菜のサラダプレート」1580円(月〜金曜は1380円)、選べるセットドリンク付き
ランチで好評なのが「八十八夜旬野菜のサラダプレート」です。大振りの皿の上には、有機露地野菜を中心にその日に入った25種類ほどの生野菜・茹で野菜がたっぷり。野菜をすり込んだ自然な甘みの自家製ドレッシングで味わいましょう。店内で焼き上げるパンまたは五穀ご飯、お惣菜もついてボリュームも満点。カラフルで力強い味わいの野菜たちに、からだの中からリフレッシュできそうなひと皿です。

写真左上から時計回りに「自家製スパイスジンジャー」800円、「たっぷり野菜のカレープレート」1480円(月〜金曜は1280円)、「伊藤農園の手絞り100%みかんジュース」590円、テラス席
ランチは「たっぷり野菜のカレープレート」、「特製から揚げプレート」など全5種類。このほか自家製スイーツやドリンクもあって、カフェとして利用するのもよさそう。とくにきざみショウガにスライスしたショウガ、アガベシロップと数種類のスパイスでつくる「自家製スパイスジンジャー」は暑い日に元気をくれる一杯。肉料理や魚介料理、季節ごとに厳選されたお酒でもてなしてくれ、夜まで自由なスタイルでくつろげますよ。

八十八夜
ハチジュウハチヤ

美しいキッチンウェアやアンティーク家具を眺めに「CINQ」へ寄り道

ヨーロッパや日本の生活雑貨や衣類などが並ぶ店内
「長く使えるシンプルなデザイン」をテーマに国内外からセレクトした生活雑貨をそろえる「CINQ」。八十八夜からは歩いて6分ほど、瀟洒なお店や住宅が並ぶ大正通り沿いの一軒です。もともとは原宿にあった輸入生活雑貨の店がルーツで、吉祥寺のお店を開いたのは15年ほど前のこと。街並みも道行く人も少しずつ変わったそうですが、ヨーロッパでオーナー自ら買い付けるすてきな道具を求めて今も開店直後から多くの人が訪れます。

写真左上から時計回りにトレンドグラス・イエナのガラス器4290円~、ニッコーのプレート1430円~、プライス&ケンジントンのティーポット3190円~など
「CINQ」らしいアイテムのひとつが、プライス&ケンジントンのティーポット。ぬくもりのある風合いと使い勝手のよさに定評がある英国ブランドのティーポットです。こちらではめずらしいカラーがそろっていることも多く、遠方から見にくるファンやカフェのオーナーもいるのだとか。ドイツが世界に誇るトレンドグラス・イエナの耐熱ガラス製品、日本茶のワークショップも開催するオーナーが選んだ茶道具などのシンプルな美しさにもときめきます。

学校などで使われていたアルテック社のテーブル66000円、アーコール社の椅子40000円台~など
おもにヨーロッパで買い付けるアンティークやヴィンテージ製品にも定評があります。店内では1970年代の食器類4000円~などを扱うほか、フィンランドのアルテック社や英国アーコール社のヴィンテージ家具も。お店のすぐ近くには姉妹店「CINQ HOME」があり、こうした家具類を多く並べています。アンティークショップが多いことでも知られている吉祥寺。古きよきものをテーマにしたさんぽも楽しめそうですね。

CINQ
サンク

土をこねて土に向き合う「陶芸教室むさしの」で器づくり

広々としたメインの工房。定期で通う人は10~18時の間で好きなだけ作陶に打ち込める
「CINQ」から駅前のにぎわいを通り過ぎ、JR中央線の高架に沿うように徒歩20分。静かな住宅街の路地に「陶芸教室むさしの」があります。ちょっと意外な場所ですが、一歩中に入るとそこは窯やロクロが並ぶ本格的な陶芸工房。定期的に通う生徒や近隣に住む陶芸作家たちが思い思いの時間に訪れ、静かに作陶にはげんでいます。

「玉作り」で小鉢づくりに挑戦。写真のサイズぐらいの作品なら2~3個は作れる
ビジターに好評なのがおよそ2時間で完成する「手びねり陶芸体験」。スタッフに「玉作り」と「たたら作り」という2種類の基本の成型技法を教わりながら、初心者でも気軽に作陶にチャレンジできます。体験は粘土をワイヤーで巻き取り、こねるところからスタート。ひんやりとした土に触れていると不思議と心が落ち着いてくるかのよう。その後は手まわしのロクロやさまざまな道具を使いながらゆっくりと形を作っていきます。

作品ごとに好みの釉薬を選んで
完成したら、4色の釉薬から好みの色を指定して体験は終了。後日、スタッフが低温で素焼きし、釉薬をかけ、本焼きを施して完成させたうえで連絡をくれるので、受け取りに行きましょう(配送希望の場合は体験時に応相談)。陶芸は土の種類や焼き方によっても色彩や表情が異なるのだそう。工房内にはサンプルもたくさんあるので、奥深い陶芸の世界を見学させてもらうのも楽しそうです。

陶芸教室むさしの
トウゲイキョウシツムサシノ

11色のクリームソーダが名物の老舗喫茶「ゆりあぺむぺる」へ

写真左上から時計回りに明るい雰囲気の2階客席、1階の公衆電話、1階席、100年以上前のアメリカ製レジスター
「陶芸教室むさしの」から徒歩14分。JR吉祥寺駅前へ戻ってきたら、1976年創業の喫茶店「ゆりあぺむぺる」でひと休みしましょう。レンガの壁、横浜のクラシック家具店・ダニエルが手がけた革張りの椅子、アールヌーヴォーのランプなどインテリアや内装はほぼ創業当時のまま。毎日欠かさずワックスで磨き続け、独特の鈍い光を放つ床も時代を感じさせ、昭和の吉祥寺にタイムスリップするような気分が楽しめる喫茶店です。

「みずいろの少女」900円、「ゆりあぺむぺるクリームソーダ」850円
近年、若い世代に好評なのが、甘さ控えめでコクのある大きなアイスクリームがのったクリームソーダ。創業時からの名物「ゆりあぺむぺるクリームソーダ」は、ザクロ風味で鮮やかなオレンジ色。時を経るごとにレシピが増えたというラインナップは現在なんと11種類。ライトブルーでライチ風味の「みずいろの少女」、すみれ色ですみれ風味の「バイオレット」など見た目も名前もロマンチックなソーダはどれにしようか悩んでしまうはず。

「ゆりあぺむぺるプリン」600円
クラシカルなスイーツなら、生クリームとバニラビーンズたっぷりの自家製プリンはいかが?しっかりと固めの生地にほろ苦いカラメルがよく合い、長年のファンも多いそうですよ。看板のコーヒーは、4種類のブレンドはハンドドリップで、6種類前後のストレートはサイフォンで淹れるスタイル。ランチやパスタなど食事メニューも豊富で、吉祥寺での行きつけにしたくなる居心地のいい一軒です。

ゆりあぺむぺる
ユリアペムペル

文房具&雑貨好きが通う「36 Sublo」で新作をチェック

小さな店内に文具や雑貨がぎっしりと並ぶ店内
吉祥寺さんぽもそろそろ終盤。「ゆりあぺむぺる」から歩いて6分ほど、東急百貨店吉祥寺店の近くにある「36 Sublo」にも立ち寄ってみましょう。こちらは2004年に吉祥寺の路地裏にオープンした文具と雑貨のお店。現在は、吉祥寺通り沿いの古いビルの2階に店を構えています。最近では海外からやってくるファンも多いそうで、10人も入ればいっぱいの小さな店内はいつ訪れても雑貨好きの人々でにぎわっています。

「おみせやさんシリーズ」ポストカード165円、メモパッド528円など
人気の秘密は、スタッフがイラストレーターやデザイナーとつくるオリジナル商品が豊富なこと。値札シールをベースにしたラベラーロールシール、しましま柄の包装紙、カラフルなマスキングテープ、ユニークなはんこ類など「36 Sublo」らしい世界が広がります。「おみせやさんシリーズ」、「人アルファベットシリーズ」などシリーズ化されているものもあり、ひとつひとつ見ているだけで時間を忘れそう。

写真左上から時計回りに「ラベラーロールシール」1個440円~、オリジナルのはんこ1個550円~、「人アルファベットシリーズ」缶バッチ275円など、ホリミチヒロ×36「毎日点数占い」30枚660円~
「36 Sublo」ではスタッフがさまざまな展覧会や展示会をめぐり、この店らしいと感じる商品を探しているそう。店頭・ネットショップともに随時新作が入荷し、オリジナル以外にもかわいい、どこか懐かしい、くすっと笑える文具や雑貨が豊富にそろいます。人気の品はすぐに売り切れてしまうこともあるので、こまめにチェックしてみてくださいね。

36 Sublo
サブロ

一期一会の本との出会いを「百年」に求めて

多彩なジャンルから約15000冊の蔵書が並ぶ
「36 Sublo」から徒歩で2分ほど、にぎわう吉祥寺の中心部にひっそりとたたずむ書店「百年」があります。自然光が差し込む店内は明るくて居心地のいい空間。初めて訪れる人でもすっと入りやすい雰囲気になっています。店内の9割を占める古書はとくにジャンルを決めることなく幅広く仕入れているそう。アート系、人文系など、ゆるやかにジャンル分けされた書棚を眺めているだけで次々と新たな世界に引き込まれていくかのよう。

写真上からZINEやリトルプレスがそろう新書のコーナー、「牛久保雅美 個展 アンニュイビーチ」を開催中の店内。展示は2週間ほどで変わる
新書はZINE(ジン)と呼ばれる個人制作の小部数本がほとんど。「百年」ではこの書店に置きたい・この本を置きたいという著者と書店の信頼関係を大切にしていて、他ではなかなか出会えない個性あふれる本が豊富にそろいます。店内では著者を招いたトークイベントなどが開催されるほか、壁面を使ったアート作品の展示も実施。「訪れる人に、自分の知らなかった景色や知識と出会ってほしい」との店主の思いが伝わってきます。

徒歩1分ほど離れた場所にある「一日」。この日は樋口達也個展 “Fire & Pine”を開催中
店名の「百年」の意味のひとつは、100年が1世紀という区切りであることに由来。古い世紀をリセットして新たな時代が始まるように、一度は誰かの手を離れ書棚で眠る本たちも、新たな読み手と出会うことで生まれ変わっていく、そんな本を取り巻く世界をイメージしているといいます。すぐ近くには姉妹店で「一日」という名のギャラリーと本のお店も。こちらでもクリエイターの展覧会と選りすぐりの本との出会いが楽しめますよ。

百年
ヒャクネン

大正通り
いかがでしたか?武蔵野の自然と歴史を感じ、個性あふれるお店をめぐる吉祥寺さんぽ。大型商業施設だけでなく、駅前のエリアに小さなお店がぎゅっと詰まっているのも吉祥寺の魅力です。路地を歩いて、自分だけのお気に入りに出会う、そんな小さな心のぜいたくを楽しんでみてはいかがでしょうか。

【大賞は2万円の旅行券♪】フォトコンテストも開催中

現在、TAMASHIMA.tokyoとことりっぷがコラボしたフォトコンテストも開催中です。入選作品には素敵な賞品&ことりっぷWEBにも作品が掲載されます。 開催期間は2023年8月10日(木)~10月9日(月)まで。ぜひ多摩エリア・島エリアの素敵な写真を投稿してみてくださいね。
「TAMASHIMA×ことりっぷ フォトコンテスト」の詳細はこちら
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佐藤史子 写真:山下コウ太
公益財団法人東京観光財団

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