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2025.11.14
深まりゆく秋の北鎌倉を満喫♪古刹の特別拝観で楽しむ紅葉と地元の食材を味わう湯豆腐のお昼ごはん
鎌倉の中でもひときわ静かな秋を感じられる北鎌倉。寺院が点在し、赤や黄金色に染まる木々の間を歩くと日常の喧騒を忘れて心が澄んでいくようです。この時期、庭が美しいことで知られる長寿寺では秋の特別拝観が開催され、普段は入ることのできない小方丈から、枯山水と紅葉の景色を眺めることができます。静けさとぬくもりに満ちた北鎌倉をゆっくり歩きながら、古都の風情に触れる一日をご紹介します。
歴史と秋色に包まれる静寂のひととき「長寿寺」
地元の食材で温まるお昼ごはん「点心庵」
絵本の世界に心を遊ばせる「北鎌倉 葉祥明美術館」
訪れるだけでほっこりと和む「茶寮 風花」
一人静かに過ごす大人の隠れ家「喫茶 吉野」
歴史と秋色に包まれる静寂のひととき「長寿寺」
もみじが色づく長寿寺境内
北鎌倉駅から歩いてほどなく、ひっそりとした佇まいを見せる「長寿寺」は、足利尊氏が開基したと伝えられる古刹です。通常は非公開ですが、春と秋の特別拝観の時期だけ、その美しい庭園を訪れることができます。
小方丈へ続く廊下
山門をくぐり境内へ足を踏み入れると、その静けさに心が洗われていくようです。まずは本堂に上がらせていただきましょう。お参りをしたあと、廊下伝いに進むと、書院、小方丈へとつながります。
緋毛氈に座って落ち着いた時を過ごす小方丈
書院や小方丈の緋毛氈に座って庭を眺めていると、日常のざわめきがすっと遠ざかり、深い安らぎに包まれます。この静寂の中で、自分自身の内側とじっくり向き合ってみるのも、特別拝観ならではの贅沢な時間です。
引き戸越しの紅葉
小方丈からは古都の奥ゆかしさを映す枯山水の庭園を眺めることができます。京都から招いた庭師によるもので、波紋を思わせる白砂と秋の柔らかい日差しを受けて輝く紅葉とのコントラストは、まるで一枚の絵画のようです。
小鳥のさえずりに導かれて色づく庭をのんびり散策
茅葺屋根の観音堂
おだやかな時間を過ごした後は、紅葉の名所としても知られるお庭の散策へ。観音堂の横には鮮やかに色づいたモミジと黄金色に輝くイチョウが寄り添うかのように並びます。
雄大な竹林と紅葉のコントラスト
小道を進むと足利尊氏の墓がひっそりと佇み、長い時を経てなお、この地を守っているかのようです。その先には竹林の青と紅葉の赤が重なり合い、凛とした自然の調和の美しさに思わず立ちすくむほど。木々が風に揺れる音を聞きながら、胸の内に浮かぶ思いをそっと見つめる時間がここにはあります。
石段の小道
足元を見れば、苔むした石段の上に、色づいた葉が静かに落ち積もり、深まる秋の情緒を静かに物語ります。北鎌倉の奥深い歴史と、自然が織りなす極上の美しさに触れる、心豊かなひとときを過ごしてみてはいかがでしょうか。
長寿寺
チョウジュジ
0467-22-2147
【春と秋の特別拝観】 4・5月は金~日曜と祝日 6月は水~日曜と祝日 10~11月22日までは金~日曜と祝日 11月23日~12月7日までは毎日 時間はいずれも10:00~15:00 ※雨天中止
地元の食材で温まるお昼ごはん「点心庵」

坐禅堂の円窓
長寿寺で秋の彩りに触れたあとは、建長寺のすぐそばにある食事処「点心庵」へ向かいましょう。円窓をしつらえた静かな坐禅堂があり、北鎌倉らしい風情に満ちています。

「鎌倉湯豆腐セット」(2580円)※期間限定
秋からは春先にかけては、湯豆腐の御膳が登場します。地元・鎌倉の豆腐店「豆寿」の豆腐を主役に、由比ガ浜通りの「麩帆」の麩田楽とシラスごはん、建長寺直伝の味を受け継ぐ名物・けんちん汁も添えられます。

国産大豆を使用したなめらかな絹ごし豆腐にポン酢をかけて
鎌倉の地の恵みをまるごと味わえるこの御膳は、紅葉散策で冷えた体もじんわりと温めてくれます。食事の後に坐禅堂で静かに座われば、心落ち着く時間を過ごせますよ。

「点心庵」の記事はこちら
点心庵
テンシンアン
絵本の世界に心を遊ばせる「北鎌倉 葉祥明美術館」

こぢんまりとした素敵な美術館
心温まる食事の後は、少し気分を変えて、アートな秋を楽しみませんか。訪れるのは絵本作家で詩人でもある葉祥明氏の美術館です。北鎌倉の静かな住宅街に佇む「北鎌倉 葉祥明美術館」は、訪れる人々を優しく、そしてファンタジックな世界へと誘います。

4人家族の家をイメージしたアートな空間
優しいタッチの作品の数々は、見る人の心をそっと包み込みます。日々の忙しさから解放され、童心に帰ったような穏やかな気持ちになっていくのがわかりますよ。秋の柔らかな光が差し込む館内で、作品をモチーフにしたポストカードやグッズなどお土産を選ぶのも楽しいひとときです。

絵葉書(160円)書籍『しあわせの小径』(1650円)
「北鎌倉 葉祥明美術館」の記事はこちら
北鎌倉 葉祥明美術館
キタカマクラ ヨウショウメイビジュツカン
訪れるだけでほっこりと和む「茶寮 風花」

情緒のある甘味処
美術館から少し足を延ばして、うさぎの形をした蒸しまんじゅうが名物の「茶寮 風花」へ。木々に囲まれた趣のある店構えに惹きつけられます。

ホカホカと温かいうさぎまんじゅう
オーダーごとにセイロで蒸した温かい「うさぎまんじゅう」は、ひと口頬張ると、もちもちとした弾力のある食感と、素材の風味を活かした素朴で優しい甘さが口いっぱいに広がります。素朴ながらも洗練されたおもてなしが心地よい、北鎌倉のとっておきの休憩スポットです。

「うさぎまんじゅうセット」(900円)
「茶寮 風花」の記事はこちら
茶寮 風花
サリョウ カザハナ
一人静かに過ごす大人の隠れ家「喫茶 吉野」

しっとりとした雰囲気の店内
北鎌倉散策の締めくくりは東慶寺の山門のすぐ横にひっそりと佇む「喫茶 吉野」へ。ゆったりとした時間が流れるカフェで、サイフォンで丁寧に淹れる本格的なコーヒーがいただけます。

「ブレンドとフルーツケーキ」(1100円)
深みのある香りとクリアな珈琲の味わいは、歩き疲れた体に優しく染みわたります。しっとりと焼き上げた「フルーツケーキ」をぜひ一緒に。洋酒に漬け込んだドライフルーツがぎっしりと詰まっていて、口に運ぶたびに豊かな香りが広がります。

北鎌倉駅から徒歩約4分
ノスタルジックな空間で、香り高いコーヒーと絶品ケーキをいただきながら、今日一日めぐった北鎌倉の秋の風景を静かに振り返る時間は、このうえない至福のひとときです。
「喫茶 吉野」の記事はこちら
喫茶 吉野
キッサ ヨシノ
秋の彩りに出会う北鎌倉の紅葉さんぽ
モミジやイチョウが鮮やかに色づく季節の北鎌倉は、その静けさと奥ゆかしさが際立ちます。秋の深まりを心静か感じる北鎌倉へと、足を運んでみてはいかがでしょうか。
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文:高橋茉弓、写真:高橋茉弓、新井智子、依田佳子
Writer
高橋茉弓

おやつの時間を何よりも大切にするライター&カメラマン。波の音とカフェがあればそれで幸せ。
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