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2014.08.14
ご先祖を大事に思い供養する素朴な風習と伝統行事が息づく「京のお盆」
8月はご先祖や亡き人の霊を供養するお盆の季節です。京都では「お精霊さん迎え」でご先祖の霊をあの世から迎え、「五山の送り火」で再びあの世へと送ります。(メイン写真/五山の送り火のひとつ「大」)
「お精霊迎え」はご先祖を迎える夏の伝統行事

六道珍皇寺には昼夜たくさんの人がお精霊さんを迎えにお参りします
8月に入ると、京都の各地では伝統的なお盆の行事が繰り広げられます。京都の人びとは親しみをこめてご先祖の霊のことを「お精霊さん(おしょらいさん)」と呼び、8月7日~10日の六道珍皇寺(ろくどうちんのうじ)での「六道まいり」では、あの世まで響き渡るという迎え鐘を撞いてお精霊さんをこの世へといざないます。 他にも、千本釈迦堂(せんぼんしゃかどう)の「六道まいり」や千本ゑんま堂の「精霊迎え」、六波羅蜜寺の「万灯会(まんとうえ)」など、寺院でのご先祖を迎える「お精霊迎え」の行事には参詣者が多く訪れ、京都のお盆が始まります。
“きゅうり”と“なす”で作る「精霊馬」はご先祖の乗り物

“きゅうり”と“なす”を馬と牛に見立てます
お盆にお供えする供物の中で、“きゅうり”と“なす”に楊枝をさしたものを「精霊馬(しょうりょううま)」といいます。古くからご先祖の霊は精霊馬に乗ってあの世とこの世を行き来するとされてきました。 “きゅうり”に楊枝をさしたものは馬にたとえて、霊が少しでも早くあの世から帰ってこられるように、そして“なす”に楊枝をさしたものは牛にたとえて、お盆が終わってのんびりとあの世へ帰っていくように…という願いをこめてお供えするそうです。
夏の夜空を朱く彩る幻想的な「五山の送り火」

五山の送り火のひとつ「妙」
8月16日、京都の夜空に浮かび上がる「五山の送り火」は、お盆にこの世に里帰りしていたお精霊さんを再びあの世へと送る宗教行事です。五つの山に焚かれるかがり火は、お精霊さんが無事にあの世へ戻っていけるよう足元を明るく照らすためのものだとか。山に灯をともす送り火は五つの山それぞれにいわれがありますが、起源については定かではないそうです。 20時、市内の看板などの明かりが一斉に消されると、東から西へ「大文字」→「妙法」→「船」→「左大文字」→「鳥居」と次々に点火され、約1時間にわたって静かに燃え続けます。暗い夜空に浮かび上がる山々の炎は、京都の街を幽玄な雰囲気につつみこんでゆくようです。静かにゆらめく火を見つめ、亡き人を思ってそっと手を合わせる…古くからの伝統が今も古都に息づいています。 「五山の送り火」はお精霊さんを見送る夏の風物詩、そして、過ぎ去ってゆく夏を感じる伝統行事なのです。 〇各山の点火時間と送り火がよく見えるところ 20時00分 大文字……賀茂川(鴨川)堤防(丸太町大橋~御園橋) 20時05分 妙…………北山通(ノートルダム女学院あたり) 20時05分 法…………高野川堤防(高野橋北) 20時10分 船形………北山通(北山橋から北西) 20時15分 左大文字…西大路通(西院~金閣寺) 20時20分 鳥居形……松尾橋や広沢の池など 他、市内各ホテルの屋上など
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田中 昭美
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