
326
2017.04.21
フィルムにしかできない表現がある――今、あえて伝えたい「フィルムカメラ」の魅力とは?
※こちらの記事は、2017年4月21日に公開されたものです。 いま20代~30代のカメラ女子の間では、フィルムカメラが密かにブーム。フィルムカメラは、デジタルカメラのように撮ったあとに画面で写真を確認できないなど、一見不便で難しそうな印象。にもかかわらず、なぜフィルムカメラが注目されているのでしょうか。 全5回にわたって、フィルムカメラのおもしろさをご紹介する「フィルムカメラことはじめ」。第1回は、普段からフィルムカメラを愛用し、ことりっぷスターユーザーであるmaa!さんにフィルムカメラの魅力についてたっぷり語っていただきました。

デジタルでは出せないフィルムカメラならではの色味

フィルムカメラらしい柔らかさが特徴(カメラ:PENTAX MX、フィルム:PORTRA400/撮影:maa!さん)
--カメラを使い始めたのはいつからですか?

スターユーザーのmaa!さん
いまから約10年前です。カメラデビューはフィルムカメラではなく、デジタルカメラ。学生時代にミラーレスブームが到来し、その波に乗るようにデジタルカメラを持つようになりました。 少しずつ、写真が好きになる中で、自然と、さまざまな写真家の方たちの写真集を手にとり始めました。

(c)Hideaki Hamada
特にひかれたのは、濱田英明さん、市橋織江さん、川内倫子さんの写真。どの作品にも温かみのある美しさがありました。自分もいつかこんな素敵な雰囲気の写真を撮りたい。しかし、自分のデジタルカメラでは表現できない。パソコンやアプリで加工してみても、その色がでない。 そんな中、とあるカメラのワークショップに参加したときに、講師の方が教えてくれたんです。私の求めている写真は、フィルムカメラで撮影しなければ表現できない、と。「そうか、加工ではなく、フィルムだったのか」と(笑)。 それがフィルムカメラを始めたきっかけです。
濱田英明さんのInstagramアカウントへ

失敗しても楽しい!?アナログ体験ならではのドキドキ感

maa!さん愛用のフィルムカメラ。左から「KLASSE W」「PENTAX MX」
--最初に買ったフィルムカメラは? 富士フィルムの「KLASSE W(クラッセ W)」です。機能的にシンプルなものを使いたいと思ったので、デジタルカメラ同様、絞り、シャッタースピードなど、ほとんどがオート機能を備えたフィルムカメラを買いました。でも、数か月で飽きてしまったんです(笑)。 --それはなぜ? フィルムカメラの魅力はアナログなところ。現像するまでのドキドキ感や、現像してうまく撮れてたときの感動、はたまた失敗した場合もなんだか楽しい。そんなアナログ体験が、フィルムカメラの魅力なんです。だから、カメラもすべてオートで撮影されてしまったらおもしろくない。 次に買ったカメラは、「PENTAX MX(ペンタックス MX)」。シャッタースピードと絞りがマニュアルで、被写体の明るさに合わせて自分で設定しなくてはいけません。

シンプルな機能だから、意外とすんなり楽しめる
カメラ:PENTAX MX、フィルム:PORTRA400/撮影:maa!さん
--自分で設定するのって難しくないのでしょうか? それが意外とそうでもないんです。むしろ、デジタルカメラの方がずっと機能が多くて使いこなすのが難しい。フィルムカメラは、シャッタースピードと絞りを調整して、ちょうどいい「露出」にし、ピントを合わせてシャッターボタンを押すだけ。「露出」はたいていのカメラに「露出計」が内蔵されているので、それが適正な位置に来るように合わせる。とってもシンプルなんです。 ※露出…レンズを通してフィルムに適正な光をあてること デジタルカメラのようにISO感度(光への敏感さを示す数値)の設定も必要ありません。フィルムカメラのISO感度は、フィルムの種類によってすでに決まっています。いま流行している「写ルンです」がわかりやすいのですが、「写ルンです」のISO感度の種類は「1600」「800」「400」の3つ。数字が大きいほど少ない光でも撮影できるので、室内メインなら「1600」、水中撮影用なら「800」、屋外なら「400」。これと同様に、フィルムカメラ用に、ISO感度の異なるフィルムがあるので、選択したフィルムのISOを使うだけなんです。

フィルム選びもおもしろさのひとつ
カメラ:PENTAX MX、フィルム:PORTRA400/撮影:maa!さん
--さまざまなフィルムがありますが、ISO感度以外もフィルムに違いはありますか? はい。私が愛用しているのは、Kodakの「PORTRA(ポートラ)」というフィルムですが、これはそもそも人物を撮影するために作られたもの。色にクセがなく、なめらかでかつやさしい雰囲気が表現できるのが特長です。 ほかにも、青色が強く出るものだったり、シャープな表現になったり、フィルムごとに特徴があります。同じ場所で同じものを撮影しても、フィルムの銘柄によって雰囲気が全く異なるのも、フィルムカメラのおもしろさです。

あえて形に残すことで感じる写真の魅力

カメラ:PENTAX MX、フィルム:PORTRA400/撮影:maa!さん
--フィルムカメラを複数お持ちだと思いますが、週末のお出かけや旅行先にもっていくカメラはこれ!というものがあったら教えてください。 いま、3台のフィルムカメラを持っています。週末のお出かけや旅行先には日常使いをしている「PENTAX MX」を持って行くことが多いですね。さほど重くないので、気軽に持ち運びができます。ただ、「KLASSE W」は、写真の右下に日付が入るのが便利。旅行先での時系列もわかるし、数年後に見返したとき、その年にあったさまざまな思い出も同時によみがえってくるのも魅力です。
カメラ:HASSELBLAD 500C、フィルム:PRO400H/撮影:maa!さん
--ずばり、フィルムカメラのおもしろさって何でしょうか? ネガやプリントという形に残る点ですね。データで写真が残るデジタルカメラと違って「物体で残る重み」というのがあると思います。特に、家族写真や人生の一大イベントの記念写真は、プリントで残す意味は大きいと思います。 私は、海の写真を撮るのがとても好きなので、時間を見つけては逗子や鎌倉など近郊の海へ撮影に足を運びます。日常の中でも海を感じていたいので、プリントして部屋に飾っています。

-これからフィルムカメラをはじめようと思っている人に一言お願いします。 フィルムカメラって難しくて、価格も高いと思っている人が多いのですが、実は逆。デジタルカメラよりも機能はシンプルで、頑張って探せばリーズナブルなものがたくさんあります。 私の「PENTAX MX」は中古で、1万円前後で購入しました。「KLASSE W」も3万円くらい。取り外しが可能な大部分のレンズは、基本的に同じメーカー同士であれば互換性があり、絞りリングがついていれば手持ちのデジタルカメラのレンズをフィルムカメラで使うことができるのも魅力です。 フィルムは使用期限があるので、お店によっては、期限切れ間近のものは叩き売りされることも(笑)。機能面でも金銭面でも、フィルムカメラって意外ととっつきやすいということをみんなに知っていただきたいですね。
※掲載の内容は、記事公開時点のものです。変更される場合がありますのでご利用の際は事前にご確認ください。
※画像・文章の無断転載、改変などはご遠慮ください。
田賀井リエ
Writer
田賀井リエ

東京都在住。フリーエディター&ライター。趣味は街歩きと食べること。
maa!さん

神奈川大好きな神奈川フォトグラファー♪ 神奈川の素敵な写真を発信していきたいと思います( ´ ▽ ` )ノ♡ 皆さんの神奈川散歩のご参考になれば幸いです(*^^*) Instagramやってます⇨@maa_oluolu こちらもどうぞよろしくお願いします♪
アート・カルチャー
の人気記事
の人気記事