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2021.07.26
奈良晒の老舗が営む「麻布おかい」へ。麻織物の魅力を活かした「Mafu a Mano」の暮らしの一品
伝統工芸品「奈良晒(ならさらし)」を創業から約160年にわたり作り続ける織元の6代目が立ち上げたブランド「Mafu a Mano(マフアマノ)」。貴重な麻糸を使い職人が手織りした生地を使うアイテムは、麻そのものの素朴な風合いと繊細な手仕事による美しさが魅力です。
「麻の最上は南都なり」といわれた高級麻織物
ふわっと風に揺れる蚊帳生地ののれんが目印
興福寺や猿沢池のほど近く、三条通沿いにある「麻布おかい 奈良店」。こちらは文久3(1863)年の創業以来、代々手織りの麻織物をつくっている奈良晒の老舗織元「岡井麻布商店」の直営店です。
多彩な麻織物の雑貨が揃う直営店
熟練した技術が必要な機織り機「大和機(やまとばた)」。週末を中心に不定期で5代目による店頭実演も行う
「奈良晒」とは、奈良を中心につくられてきた良質な麻織物のこと。麻糸から織り上げた生地を晒して白く仕上げたもので、古くから僧侶の袈裟や武士の裃、茶巾などに用いられてきました。江戸時代には、幕府御用達品として認められて全国に知られたことで需要が高まり、当時は奈良町の9割もの人が携わったといわれるほど栄えた産業だったそうです。 その後、時代とともに衰退し、現在「奈良晒」は奈良県の伝統工芸品に指定されています。そんな伝統技術を守り継いでいる数少ない織元の一つが「岡井麻布商店」です。 そして、その直営店「麻布おかい 奈良店」には、ポーチやふきんといった奈良土産に人気の小物をはじめ、スカーフ、タペストリーなど、麻織物を使ったさまざまなアイテムが並んでいます。色とりどりの商品が揃うなか、6代目の岡井大祐さんが2017年に立ち上げたのが、色や柄をつけず麻そのものの風合いを活かすことにこだわったブランド「Mafu a Mano」です。
麻織物の美しさに触れる「Mafu a Mano」
3サイズありハンカチやふきんなど自由に使える「麻布」(小/440円~)
「やっぱり織った生地ってすごくきれいだなって思ったんです」と、岡井さん。麻糸から生まれる素朴な色味や質感をもっと多くの人に知ってもらいたいという想いが「Mafu a Mano」を立ち上げるきっかけとなりました。生成りや白の麻布を中心に、スカーフなど色のバリエーションがあるものには藍や茜といった日本古来の天然の染料を最小限使いながら、麻の風合いを活かすことにこだわっています。
手織麻を現代の暮らしに寄り添うアイテムに
「コーヒーフィルター」(各770円)、麻は乾きが早く丈夫で手入れも簡単。巾着としても使える「ちゃんぶくろ」(各770円)はお茶などに染まっていく色味の変化も楽しめる
岡井さんのもう一つの想いが、手織の麻をもっと身近に使ってもらいたいというもの。ふきんやハンカチとして使える「麻布」、お茶や出汁を煮出す時に使える「ちゃんぶくろ」、コーヒー豆の保管に麻袋が使われることから着想を得たコーヒーフィルターなど、麻の特長も活かした日常使いできるアイテムを展開しています。 「手織の麻をもっと日常に近い存在にしたいと思っています。織ったものを今の生活の中で使っていただきたいです」と、岡井さんが職人としての想いを語ってくれました。 実際に使っていく中で麻のさまざまな魅力に出会えそうな「Mafu a Mano」のアイテムたち。ぜひ暮らしに取り入れてみてください。
麻布おかい 奈良店
マフオカイ ナラテン
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岩永茜 写真:マツダナオキ
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