「金魚の町」として有名な大和郡山

金魚のフラッグが掛かる、やなぎまち商店街

奈良県の北部に位置する大和郡山市は、東京・江戸川区や愛知・弥富市と並ぶ、金魚の日本三大産地です。金魚ストリートと呼ばれる商店街、金魚すくいや金魚の本、金魚をモチーフにした雑貨やお菓子など、町の中でさまざまな金魚と出会えます。 そもそも大和郡山の金魚養殖は、柳澤吉里が甲斐の国（現在の山梨県）から大和郡山へ入城したときに始まると伝えられています。ちょうど300年前のことで、幕末の頃は郡山藩士の副業として、明治維新後は旧藩士の経済的支援や農家の副業として盛んになったそうです。

（左上）紺屋川沿いにある金魚の装飾（右上・左下）「箱本館紺屋」にある金魚の水槽（右下）やなぎまち商店街沿いにある「本屋とほん」奥にある金魚の洗面所

金魚養殖が盛んな大和郡山市新木町の一帯では、あたり一面に金魚池が広がっていて、金魚卸売店のやまと錦魚園には「郡山金魚資料館」もあります。 町なかをそぞろ歩くならば、近鉄郡山駅から歩いてすぐの場所にある金魚ストリートと呼ばれる「やなぎまち商店街」へ。球体型や行燈型といった変形水槽に金魚が泳ぐ姿など、さんぽをしながら金魚をみつける楽しさがありますよ。　

童心を思い出して金魚すくいを楽しむ「こちくや」

日本に最初に渡来したという金魚の元祖といえる品種、和金をすくえる金魚道場

やなぎまち商店街近くに流れる紺屋川沿いの「こちくや」は、金魚すくい道場を併設したおみやげが買える店。修学旅行で訪れて、懐かしさとともに再度訪れる人も多いといいます。 開業は25年以上前のことで、アニメ『忍たま乱太郎』の作者で知られる漫画家の尼子騒兵衛（あまごそうべえ）さんが描いた豊臣秀長のイラストを使い、大和郡山のおみやげなどをオリジナルで作り販売したことをきっかけに、お菓子から雑貨までさまざまな奈良のおみやげを置いています。

（左上）金魚コースター丸型500円、四角350円。金魚玉の値付け・錦各600円。金魚の箸置き500円～（右上）金魚の装飾が目印の店（右下）道路の中央にある水路のような紺屋川沿いにある店（左下）店内には金魚のアイテムがいっぱい

「こちくや」は、金魚すくい道場が人気です。開業時、店前に置いていた金魚の水槽に目を止める人がいたことで、金魚すくいに興味を抱き、全国金魚すくい大会の第10回団体チャンピオンに輝いた店主。競技大会前は、選手自ら金魚を買い求め自宅で練習するという話を聞き、場所や費用の負担を減らすことはもちろん、もっと金魚すくい大会を普及したいという思いから、金魚すくい道場を開設しました。 いまでは、時にはプロ級の方の腕前を見ながら、初心者も金魚すくいを楽しむことができます。水を入れたボウルは水槽に浮かべ、左手は水槽を、右手にポイを持ってチャレンジしてみましょう。コツは金魚をすくう時のポイの入水角度で、金魚のお腹の下にポイを入れることが大事だそうです。

大和郡山でみつけた金魚モチーフのお菓子

甘くておいしい金魚がいろいろ

大和郡山には、金魚をモチーフにしたお菓子が、和菓子、洋菓子問わずいろいろあります。 例えば、老舗菓子司の「本家菊屋 本店」は、金魚の水槽に足をかける猫を描いたパッケージの金魚菓子があります。箱を左右それぞれ両方に開くと、金魚の形をした琥珀糖が現れるのがかわいいと人気です。寒天と水飴、砂糖のシンプル素材で、ひと口サイズのシャリっとおいしい干菓子です。 また、3代目が暖簾を守り、手づくり和菓子と国内産素材にこだわる「杉屋菓舗」は、代表銘菓がきんつばで小豆を使う和菓子が好評なお店。あっさり餡の上用饅頭金魚、寒天を使う金玉羊羹の金魚に丹波大納言小豆や練り切りを入れた金魚鉢、さらに金魚が泳ぐ白玉フルーツあんみつが人気です。

（左上）「杉屋菓舗」の上用饅頭金魚165円、金魚鉢220円、金魚が泳ぐ白玉フルーツあんみつ370円（右上）「パティスリードゥアンビアンス Le BENKEI店」の金魚のサブレ1箱5枚入1030円～（右下）「本家菊屋」の金魚すくい1箱500円（左下）「パルファン」の金魚すくいサブレ180円　金魚フィナンシェ220円　一果の金魚260円

洋菓子なら、特別な日に訪れたい邸宅フレンチレストラン「Le BENKEI」の一角にある洋菓子専門店の「パティスリードゥアンビアンス Le BENKEI店」。季節のフルーツを使うケーキや地元産の蜂蜜が人気のお店で、大和郡山のおみやげとして作られているのが、金魚サブレです。地卵と上質なバターをたっぷり使い、ザクザクと軽い歯ざわりで食べ応えがあります。 近鉄郡山駅からすぐの女性パティシエがつくる洋菓子店「パルファン」では、金魚菓子約13種が人気です。北海道産のバターを使ったこだわりの焼菓子には、バニラ＆チョコのサブレ生地でポイをイメージした金魚すくいサブレに、金魚のクランベリーゼリーをデコレショーンした金魚フィナンシェ、大和郡山のイチジクを生地に入れ込んだ一果の金魚（プレーン）があります。

思わず手にとりたくなる本が並ぶ「本屋とほん」

壁沿い真ん中あたりは、ほぼ月替わりの特集コーナーがあり、度々訪れたくなる

2024年で10周年を迎えた「本屋とほん」は、やなぎまち商店街の南端にあります。店名の「とほん」には「and books」と「気抜けしているさま、呆然、ぼんやり」という二通りの意味が込められているそう。「大切に持っていたくなる本、何度も読み返したくなる本、読んで良かったと思える本を」と、ジャンルを問わず選ばれた新刊本が並ぶ書店です。

（左上）とほんオリジナルの『別冊ブックレットホン 私と本』1冊770円とドリップコ―ヒー216円（右上）店内の金魚コーナー（右下）手に取りやすいディスプレイ（左下）格子戸が目印

大和郡山が金魚の産地ということで、店内の水槽で金魚を飼育する本屋さん。金魚にまつわる本、金魚のイラストの栞やポストカード、クリアファイル、トートバッグといった雑貨、瓶入りの金魚ラムネドリンクなど、金魚関連品もこじんまりと販売中です。

氷もおいしい♪素材を生かしたスムージー店「smoothie & sweets Chiii」

ストロベリーバナナスムージー520円、奈良県産小松菜やいちごを使うグリーンスムージープレミアム500円～

近鉄郡山駅東口からの駅前通りをまっすぐ西へ歩いて約5分、南国風の観葉植物が目印の「smoothie & sweets Chiii（スムージーアンドスイーツチイ）」。 長年カフェで働きながら、独自でイベント出店などをしてきた女性店主がつくるスムージーは、奈良県産を中心としたフルーツや野菜を、オーダーが通ってからミキサーをかけることで、素材が持つおいしさをそのまま提供しています。 驚くのは豊富なメニュー。大和郡山発の氷屋「日乃出製氷」による純氷を使う冷たいスムージーには、地元の大和素材を使うプレミアムシリーズや、カラダのことを気遣うヘルシー系などがあり、甘酒入りや豆乳きなこなどのホットスムージーとあわせて計50種以上がそろいます。

（左上）プレーンパンケーキ800円（右上）米粉を使う焼き菓子などをおみやげに（右下）絵画が飾られる店内はアートな空間（左下）一面ガラスの開放的なエントランス

平日は14時から、土・日・祝日は11時からオーダー可能な、約25分かけて仕上げるスフレタイプのパンケーキも人気。奈良県産の米粉を使い、じっくり火入れをすることで、口の中でとろけていくようなフワフワ食感が味わえます。キャラメルアップルシナモンやチョコバナナといったトッピングを楽しむメニューもありますが、まずはシンプルなプレーンでその優しい味を楽しみましょう。プラス100円でアイスクリームのトッピングもできますよ。

古代米と相性の良いスパイスカレーがクセになる「tabi tabi」

（左上）先にカウンターでオーダーをしてから席へ（右）店内には絵本がたくさん（左下）思いがけないところに小さなおばけがいるなど、待っている時間も楽しい

築100年ほどの町屋をリノベーションしたカレーの店「tabitabi」。カレー好きを中心に人気を集める、南インド料理ミールス＝菜食料理を中心とした定食を基本にしています。特徴のひとつは、ナンが添えられるのではなく、稲作地帯インド南部らしくお米で味わうカレーということ。クミンやスターアニスなど約20種のスパイスを使用して、5種のカレーを用意し、副菜が3種、豆せんべいのパパドが添えられます。

カレー5種盛りのミールスフルセット1600円、チャイ480円

奈良県産の黒米入りごはんを真ん中に、その周りにはキャベツなどが入るココナッツカレー、豚肉やチキンのキーマカレー、豆を使うダルカレー、そしてカレーというより野菜スープに近いラッサムが盛られます。ミールスらしく、小松菜炒めや人参ラぺ、少し辛い漬物のアチャールといった副菜が添えられたワンプレートメニューです。 カレーは、2種から5種まで選べて、野菜だけの3種カレーや、ミニサイズでカレー4種盛りのフルセットミニなどがあります。また、カフェとしての利用も可能で、チャイ風味のチーズケーキやプリンなどもいただけます。

時代ごとに思いを馳せ散策を。石垣が歴史を語る「史跡郡山城跡」

豊臣秀長の増築当時に近い形で復元された追手門

郡山城は、織田信長の時代に大和の戦国大名・筒井順慶が築城したことに始まり、天下統一に突き進もうとする羽柴秀吉が関白となった1585（天正13）年に、弟の秀長が入城し100万石を治め、畿内統治の拠点として大規模に整備されたといいます。関ヶ原の戦い以降は、水野家、松平家、本多家、柳澤家の居城となり幕末を迎えました。 2024年は、柳澤家が甲斐国・甲府から大和郡山に入部して300年という節目の年。さらに再来年の大河ドラマでは、豊臣秀長がクローズアップされます。 改めて訪れると、秀長の時代に城郭の拡充が急ピッチで進められたため、城門には和歌山県・根来寺の大門を移築し、石垣には寺院の礎石や墓石、石仏までもが用いられました。いまも天守台の城壁には、その証となる逆さ地蔵や多くの転用石を見ることができます。

（左上）近世大名柳澤家の歴代当主による書画や公用日記など、貴重な資料を保管管理する柳澤文庫（右上）自然豊かな場所に往時を偲ぶ石碑も（右下）郡山城跡内には柳澤神社がある（左下）2021年に史跡・柳沢文庫保存会が郡山城跡で再建した「極楽橋」

城跡内の毘沙門郭跡には、柳澤家から寄贈された柳澤家歴代藩主の書画や郡山藩の公用記録をはじめとする藩政資料といった数万点に及ぶ古文書などを所蔵する「柳沢文庫」があります。歴史について学びたい人が利用できる、郡山藩主「柳澤家」ゆかりの地方史誌専門図書館で、年に2～3回の特別展や企画展も開催。わかりやすい公開講座（歴史塾）などもあります。 郡山城跡は、明治維新により荒廃しましたが、整備が進み、良好な状態で残る内堀や石垣は国の「史跡」に指定されています。1983（昭和58）年に追手門（梅林門）が復元整備されて以降は、追手東隅櫓、多聞櫓、追手向櫓が復元され、2017年には天守台展望施設、2021年には極楽橋も再建されました。今後は、旧・郡山高校城内学舎の麒麟郭跡が広場として整備される予定です。

天守台を望むテラス席が人気♪ 郡山城跡内の「番屋カフェ」

夏期限定の柿かき氷930円

江戸時代からの長屋門を改装した番屋カフェ。モーニングから、御殿カレーやサンドイッチなどのランチ・軽食に、スイーツやアフタヌーンティー（前日までに要予約）、メニューがいろいろ選べます。 季節限定メニューも多く、6月から9月までの夏季限定はかき氷です。抹茶ミルクのかき氷など定番4種に、月替わりや気まぐれでいろいろ登場しますが、注目は柿を使うメニュー。江戸時代に、郡山城藩主の柳澤家から徳川家へと献上されていたという大和柿からヒントを得て、奈良県産の柿で作るシロップや柿の葉入りミルクシロップなどをかけた柿づくしの氷です。氷は「日乃出製氷」の純氷を使います。

（左）黒蜜きなこのかき氷860円（右上）展望台が良く見えるテラス席（右下）「番屋カフェ」の入り口は南側にある

かき氷の定番には黒蜜きなこかき氷もあります。このメニューには、吉野葛を使ったわらび餅が入っていますが、この吉野葛が将軍への献上品のひとつでした。また、夏季限定メニューには、三輪素麺を使う冷やしそうめん850円もあり、この素麺も献上品。 郡山城跡を訪れたからこその風景やメニューを味わって、お城散策を満喫しましょう。

400年以上続く老舗御菓子司「本家菊屋」

月替わりの大福とお茶のセット500円

奈良県内で最も古く、逸話も残る「本家菊屋（ほんけきくや）」。1585（天正13）年に創業し、明治維新までお城の御用を務めた郡山藩御用達の菓子司としての歴史と、当時からのお菓子が残ります。 時代とともにお菓子も増え、5月から9月頃までのゆずもなかなど、季節ごとに販売される和菓子もあります。最近では金曜と土曜のみ登場する大福が人気に。4月は黒豆大福、5月はくるみ大福と月替わりで、店先でもお茶とともに味わうことができます。

（左上）御城之口餅6個入り770円～、イートインは3個＋お茶セット500円（右上）菊まん（粒あん・白あん）1個300円（右下）ゆずもなか1個230円（左下）お店を開ける時も閉める時も160年以上前から同じ

銘菓のひとつに奈良名物「御城之口餅（おしろのくちもち）」があります。兄・豊臣秀吉をもてなす茶会をするため、時の藩主・豊臣秀長から「何か珍しい菓子を作るように」と命じられ、粒餡を餅で包みきな粉をまぶしたお菓子を献上。秀吉から「鶯餅」と命名され、現在の鶯餅の原型となったといいます。その後、城下町の入り口あたりに店があったことや、徳川の時代になったことも加味してか、今の呼称になりました。 各地に支店はありますが、400年の歴史を感じられるのが本店。伝統を守りながらも、いままでなかった白あんのどら焼きを作るなど、老舗に甘んじず新しい提案も続けています。

城下町ならではのマーケット「大和是好日」

大和郡山市内のお店はもちろん、県内から集まり繰り広げられるマルシェ

大和郡山では、2023年秋からほぼ毎月第4土曜日に青空市「大和是好日」が開催されています。外堀緑地の北門から南門の間に約30店舗が出店。大和郡山ではおなじみの老舗店の人気商品から、ここだけでしか買えないものまで、新しい奈良を発見できそう。当日は音楽の生演奏もあり、お買い物だけでなくゆったりとした時間の流れに心地よさを感じられますよ。

奈良県内ではとても貴重な城下町「大和郡山」。城跡が濠とともに残り、その東側には城下町特有の細かい町割が今でも残っています。ほとんど小路ごとに区分され豆腐町・塩町・魚町・雑穀町・大工町といった、味わいある町名が今でもそのまま受継がれているのも面白く散策できます。 城跡に当時への思いを馳せ、金魚を楽しみ奈良らしいおいしいものも味わえる町は、新しいマーケットなど、さまざまなイベント開催もお目当てにしながら訪れるのもおすすめです。

大和郡山の夏のイベント「金魚すくい大会」に参加してみませんか？

今年も大和郡山市の夏の風物詩、「第29回全国金魚すくい選手権大会」が開催されます。大和郡山に金魚が伝来して300年となる記念すべき年に、現地で素敵な思い出を作りませんか。エントリーは7月10日（水）まで、大和郡山市の公式サイト内にある特設ページからお申し込みください。 【概要】 日時：2024年8月18日（日） 場所：金魚スクエア（大和郡山市総合公園施設多目的体育館）

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【アンケート&プレゼント】抽選で5名様に「藍染のコースター」をプレゼント♪

アンケートにお答えいただいた方の中から抽選で5名様に、大和郡山にある藍染のお店「紺屋」で見つけたコースターをプレゼントいたします。みなさまのご応募をお待ちしております♪ 賞品：藍染のコースター 応募期間：～2024年7月15日（月）まで 賞品の発送：8月中旬頃

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